SPIE Photonics Westは、The International Society for Optical Engineering, SPIE(国際光工学会)が開催する光学分野における世界最大の国際会議の1つとして知られている。本年は、4,500件以上の発表、企業展示が行われ、22,000人以上の参加者が訪れた。本会議は、大まかにBiOS、LASE、OPTO、Quantum Westの4つのカテゴリーに分類され、バイオ光学、レーザ技術、光エレクトロニクス、微細加工、ディスプレイ、量子工学など多岐にわたる領域をカバーしている。
筆者は、OPTO内の「Oxide-based Materials and Devices XIV」というセッションにて、「Development of a novel rutile-type SnO2-GeO2-SiO2 alloy system」という題で招待講演を行った。
極めて大きなバンドギャップを有することから、酸化ガリウムや窒化アルミニウムガリウム、ダイヤモンド等の超ワイドバンドギャップ(UWBG)半導体が次世代のパワー・DUVエレクトロニクス材料として、近年注目を集めている。一方で、UWBG半導体は、pn両型ドーピングが困難であることや基板コストが高価になること等の課題が知られている。
その中で筆者は、約4.7eVのバンドギャップを有するルチル型酸化ゲルマニウム(r-GeO2)に注目している。その理由として、r-GeO2がpn両型ドーピング可能と理論予測されていること、安価なバルク結晶作製が可能と考えられていることが挙げられる。
今回の講演では、そのr-GeO2に同じルチル型構造を有するr-SnO2、r-SiO2を加えたルチル型酸化物混晶系(SnO2-GeO2-SiO2)の開発に関する報告を行った。
この中では、まずr-GeO2とr-SnO2の混晶であるr-GexSn1-xO2薄膜の作製およびその物性評価に関する実験結果(膜内Ge組成変化にともなう格子定数とバンドギャップの変化が理論計算と一致すること)について報告した後、第一原理計算を用いたr-GexSn1-xO2およびr-GexSi1-xO2のバンドアライメント解析(高Ge組成のr-GexSn1-xO2におけるp型ドーピングの可能性、高Si組成のr-GexSi1-xO2の障壁層としての有用性)について報告した。
本会議では、特にアメリカの大学、研究所に属する著名な研究者の方々の講演を生で聞くことができ、自らの講演以外でも大変学びが多く、今後の研究への大きな刺激を得ることができた。
また自らの講演後には、アメリカやイタリアの研究者の方々と直接、情報交換やディスカッションを行うことができ、非常に多くの学びを得ることができた。特に、ミシガン大学のKioupakis先生(r-GeO2がパワー半導体として有用であることを初めて提案した一人)とのディスカッションでは、お互いの研究に関する議論の他にたくさんの助言をいただくことができ、非常に実りのある時間となった。
一方で、英語に関してまだまだ勉強(場慣れ?)不足であることを痛感した。これまでも自分なりに勉強を続けてきたつもりであったが、今後海外の研究者の方々とよりスムーズにコミュニケーションをとるためにも、研究はもちろんのこと、英語力にもさらに意識して取り組むことを決意した。
最後に、多大なるご援助を賜りました貴財団に厚く御礼申し上げます。