Applied Superconductivity Conference 2022はアメリカにおいて隔年で開催される超伝導に関する最も規模の大きい国際会議である。
本年はハワイ州ホノルルのハワイコンベンションセンターにて2022年10月23日~10月28日の6日間にわたり開催された。
主なトピックとしては、Large scale, Electronics, Materialに分かれており、超伝導マグネット応用や量子システム、超伝導材料に関して、約2,200件もの発表が行われた。
次回は2024年9月1日~9月6日ユタ州ソルト・レーク・シティのソルトプレイスコンベンションセンターにて開催予定である。
核融合炉は将来の新たなエネルギー源として、研究が進められている。
私は核融合超伝導トカマク型実験装置(JT-60SA)について研究を行っている。JT-60SA計画とは「国際熱核融合実験炉(ITER)の技術目標達成のための支援研究」、「原型炉に向けたITERの補完研究」、「核融合研究開発を主導する研究者・技術者の育成」を目的とした日本と欧州の共同プロジェクトである。
核融合反応を発生させるためJT-60SAの超伝導コイルシステムは18個のトロイダル磁場コイル、6個の平行磁場(EF)コイル、4つのモジュールから成る中心ソレノイドにより構成されている。将来の核融合炉発電に向けて、これらの超伝導コイルを安定的かつ安全に運転する技術が求められている。
EFコイルの電源電圧には、電源システムの影響により周波数成分が含まれている。この電圧がコイルに印加された場合、コイルのインダクタンスおよびキャパシタンスにより、共振現象および過渡現象が発生し、EFコイル内部の電圧がコイル絶縁材の耐電圧を超え、JT-60SAを安全に運転できない可能性がある。
本研究では通電時にコイル内部に発生する電圧を調査するため、EFコイル全体のシステムを模擬した回路モデルを開発した。また、回路モデルにJT-60SA EFコイル電源の測定結果を用いた時の共振現象および過渡応答による導体間電圧への影響評価をした。その結果、共振現象および過渡応答により、EFコイルの絶縁材は破壊されず安全に運転できることを示した。
本学会では、ウェルカムレセプションやポスターでの発表および聴講、オーラル発表の聴講、バンケットに参加した。学会参加を通して、多くの研究者とコミュニケーションをとり、今後の研究生活や自己成長に対して、とても貴重な経験になった。
自身発表では、国内外の研究者との質疑応答を通して、今後の研究課題の発見に至ることができた。また、他研究者の発表を聴講することにより、解析モデル作成方法や評価方法、最新の超伝導マグネット応用に関する知見を得ることができた。しかし、英語での質疑応答および聴講では、自身の英語能力不足により、理解することができない場面もあった。そのため、今後のより良い交流のために英語力の向上に努めたい。
最後に、このような貴重な経験をするにあたり、ご支援をしていただいた一般財団法人丸文財団様に心より感謝申し上げます。