自身の研究室では測定が困難であった作製した強磁性液晶の評価と得たデータの解析が目的であった。具体的には、振動試料型磁力計(VSM)による評価を行い、溶液の組成や磁性ナノプレートの添加量の最適化が目的である。共同研究先のMertelj助教授は強磁性液晶の第一人者であり、Mertelj助教授や従事する多数の研究者と共に実験・議論することで、飛躍的に当該分野の専門知識を深化させることが可能となると考えた。
私は、超膨潤ラメラ相溶液への磁性ナノプレートの添加による、強磁性液晶の開発に取り組んだ。強磁性とは外部磁場を加えると磁場と同じ方向に磁化するとともに、外部磁場を除いても磁化が残る性質である。私は、磁性ナノプレートを超膨潤ラメラ相溶液中に分散させることで、強磁性液晶となると考えた。超膨潤ラメラ相と界面活性剤が形成するリオトロピック液晶の一種である。多数の2分子膜が数百nmの間隔を保って多数存在している。超膨潤ラメラ相溶液が強磁性を示した場合、従来の強磁性液晶と比較してはるかに透明な強磁性液晶となる。振動試料型磁力計(VSM)によって磁性の評価を行い、溶液の組成や磁性ナノプレートの添加量の最適化を行った。サンプルは強磁性の一種である軟磁性を示すことが分かった。また、超膨潤ラメラ相溶液の軟磁性は超膨潤ラメラ相を示さない溶液の軟磁性と比較してはるかに安定であることが分かった。
これまでも旅行や国際学会などで海外に滞在したことはあったが、約2ヶ月という長期の滞在は初めてであった。旅行の際や国際会議では英語を話してきたが、日常生活に必要な英語力はそれらとは大きく異なり、困難であると感じることが多々あった。この留学を通じ、英語を話すことができないだけで、様々なコミュニケーションや学ぶ機会を逃してしまうことを強く認識した。
最後に、多大なるご援助を賜りました貴財団に厚く御礼申し上げます。