International Conference on Coordination Chemistry (ICCC) は2020年に第44回を開催する予定をしていたが、COVID-19のパンデミックにより2年延期され2022年8月28日~9月2日までの6日間イタリアのリミニで開催された。ICCCは配位化合物をテーマにした幅広い分野の学会であり、主に、環境問題解決に向けた機能性を持つ無機・有機複合化合物、医療および生物学的分野における革新的な機能性材料を取りあげている学会である。また、化学分野において最も歴史ある学会の一つであり1950年のアメリカ開催以来、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、アフリカ、オセアニアの各地で開催されてきた。イタリアでの開催は第4回(1957年)ローマでの開催以降2回目であり、アドリア海に面した美しい街並みの中、世界各国の関係者が集まり活発な議論が交わされた。
<次回開催>
会議名:45th International Conference on Coordination Chemistry (ICCC)
期 日:2024年7月28日~8月3日
開催地:アメリカ コロラド州立大学
本会でMetal-Organic Frameworks (MOFs), supramolecular chemistry and self-assemblyの中の「Physical Properties of a New CuI Coordination Polymer with Quinoline Derivatives containing Alkoxy」というタイトルでポスター発表を行った。現在、環境問題が深刻化する中で繰り返し使用することのできるクリーンデバイスの重要性が高まっており、本研究室では有機薄膜太陽電池に着目している。有機薄膜太陽電池は柔軟性や軽量性並びに作製時の環境負荷低減などの特徴を有しているが、無機太陽電池と比較すると変換効率や耐久性など様々な問題を抱えている。そこで以上の欠点を克服すべく有機薄膜太陽電池の応用を目的として、発光性と電気伝導性が共存する材料を合成し、結晶構造と物性評価を行った結果について発表した。
当日は多くの参加者にその発光特性と電気伝導性のアルキル鎖の及ぼす影響について関心を持っていただき、数多くの有益な質問とコメントをいただいた。
研究を始めてこれまで数々の国内学会に参加してきたが、国際学会は2回目にして初の現地開催であった。今回特に事前入念に準備を進めてきたものの、実際に現地で対面発表を行うと思うように英語で伝えることができない場面も多々あった。今回はなんとか私の持つ限りを尽くして議論を行ったが、英語に関しては今後更に努力が必要なことを実感した。また、オーラル発表や他の研究者たちのポスター発表を聴講し、最先端の研究の進捗状況や多くのアイデアを得ることができた。自身のポスター発表では多くの研究者からのコメントをいただき、今後の研究に取り入れる点や改善すべき点など、様々な収穫があり、今後の研究に対して更に意欲が沸いてきた。本学会の終わりに懇親会が開催されていたが、帰国時のPCR検査を終えていなかったこともあり、今回参加しなかった。しかし次回は是非参加して多くの研究者と交流を深めたいと考えている。
最後に、本学会に参加するにあたり多大なるご支援を賜り、貴財団に深く御礼を申し上げます。