私が参加したMATCON 2023はインドのケララ州で最も権威のあるCUSATのDepartment of Applied Chemistryが主催するMATCONシリーズの第7回国際会議です。2年に1度開催されているMATCONはCOVID-19の影響もあり、MATCON 2021は開催できず、MATCON 2019から4年ぶりの開催となりました。MATCONはCUSATの運営は大半がMC、PhDの学生で構成されており、一般的な学会とは違った本国際会議は、2023年1月12日から3日間にかけて開催され、1日2回のティータイムでは現地で愛されているチャイティーをふるまっていただきました。
本会議での講演は、会議名の通り、電磁気学、光化学、生物学のマテリアル合成方法からその使用検討まで種々多様な発表を聞くことができました。3日間とも、午前にはInvited Speakerの講演があり、午後からMC、PhD学生のPoster Session(計40公演)とOral Session(計66名)が行われました。
本会議へは指導教員がInvited Speakerとして招待されたこともあり、私と指導教員と後輩の計3名で参加しました。
本会議では、Micromechanical Motion of Single Polymer Particle using Optical Force due to Transient Absorptionというタイトルで2日目にポスター発表をしました。ナノ物質の運動制御は、従来のデバイスではモーターの微小化や正確な電気配線などの課題があり、実現困難な現状にあります。しかし、光圧による光操作の中でも、吸収力による非線形な光操作は非接触非破壊的に物質を操作できるため、新たなナノ粒子の選択的輸送や光アクチュエーターへの応用が期待されています。そこで、私の研究では、すべての分子が有している電子励起状態における吸収力を用いた新たなナノ粒子の光操作の確立を目的とし、色素、溶媒や高分子微粒子の選定を行い、微小機械運動の実現とその運動制御に成功し、その結果を発表しました。
発表では、日本人学生が私と後輩の2人だけであったこともあり、多くの現地PhDの学生やその指導教員に来ていただき、原理や測定手法の精度、結果の妥当性についてコメントや質問をいただくことができました。
コロナ禍の関係もあり、オンサイトで行われる会議は国内で2回の参加経験しかなく、海外の国際会議への参加は今回が初めてでした。また、会議名のとおり、種々多様な専攻分野の方々にポスター発表を聴いていただいたため、光化学を専攻としていない方にも、測定原理を英語で理解してもらうことに苦労しましたが、異なる専攻分野の方々からもこれまでの会議とは異なる立場からの意見をいただくことができ、国際会議ならではの貴重な経験をすることができました。他にも、異分野を専攻している方には研究の動機を説明することにもっと時間を割いたほうが良いとアドバイスをいただきました。
国際交流の観点からは、日本からの学生が私と後輩の2人だけであったこともあり、ティータイムや食事の際は常に現地学生と交流することができました。食事しながら様々な学生の研究への熱意を知ることができ、私自身の研究への熱意がさらに高まりました。また、文化や大学院の制度の違いについて知ることもでき、大変貴重な経験となりました。
最後に、本会議に参加するにあたり多大な支援をくださった、貴財団に心より感謝申し上げます。大変貴重な経験となりました。