SPIE Photonics Westは、毎年米国サンフランシスコで開かれる光の分野に特化した国際会議である。本会議には、光に関する研究に従事している多くの研究者が世界各国から参加し、研究成果の報告、議論を行う。また、本会議は、BiOS(バイオフォトニクス)、LASE(レーザー技術)、OPTO(光エレクトロニクス)、Quantum West(量子技術分野)の4つの分野に大別されており、私はBiOSのオーラルセッションで発表を行った。
今年は、新型コロナウイルス感染症の流行も収束してきたこともあり、参加者は22,000人以上、発表件数も4,500件以上と、非常に活気のある会議となっていた。
機械学習のラマン分光法への応用による判別根拠が明確な末梢神経判別法の開発についての報告を行った。悪性腫瘍の外科的摘出手術を行う場合、術後の手足や臓器などの障害を防ぐために、末梢神経温存手術が行われる。末梢神経の判別は、一般的に医師の目視により行われるが、末梢神経周辺には色や形状が似ている非神経組織が存在するため、誤認識してしまう可能性がある。この問題を解決する手法として、ラマン分光法を用いた神経判別法が提案されている。一方、ラマン分光法を用いた末梢神経検出法には、判別根拠が曖昧になるといった問題があった。そこで、我々は機械学習とラマン分光法を組み合わせた神経判別法において、判別根拠を明らかにする手法の開発を行っている。本講演では、SVMとよばれる機械学習アルゴリズムを用いて判別モデルを作成し、神経組織と周辺組織から得たラマンスペクトルの判別に重要なラマンスペクトル特徴の推定を行った結果について報告した。質疑応答では、今回応用した機械学習アルゴリズムの、判別根拠推定におけるメリットと、判別根拠推定における他のアルゴリズムの応用可能性について議論を行った。
本会議において、私は自身の口頭発表のみではなく、ポスター発表、企業による展示会、またレセプションパーティーなどの様々なイベントに参加した。自身の口頭発表では、研究成果をアピールすることができただけではなく、様々な視点からの意見もいただくことができた。また、ポスター発表では、多くの研究者の方々の研究成果を拝見し、議論することができ、国際会議に対面で参加することの良さを感じることができた。一方、その中で、議論が自分の専門外の分野や、少し深い内容になってくると、理解に苦戦するなど、自身の英語力の不足を感じる場面が度々あった。
今後は、国際会議で多くの研究者の方々と深く議論を交わし、より多くの学びを得るためにも、英語力の向上に注力していく必要があると感じた。今回の国際会議への参加により得られた経験を、自身の成長につなげていきたい。
最後に、本会議への参加にあたり、大なご支援を賜りました貴財団に、心より感謝を申し上げます。