国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和3年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
鈴木 匠
(茨城大学 理工学研究科 電気電子システム工学専攻)
会議名
The Thirteenth Annual Energy Conversion Congress and Exposition (ECCE 2021)
期日
2021年10月10日~14日
開催地
[オンライン開催] (カナダ・バンクーバー)

1. 国際会議の概要

バーチャルプラットフォーム

ECCE 2021はIEEEが主催する第13回年次会議であり、2021年10月10日から10月14日にかけて開催された。パワーエレクトロニクス、制御、通信に関する研究について世界中の研究者たちが発表や議論を行う最高峰の国際会議である。投稿された論文1,576件の中から892件が採択され、採択率は56%であった。

本会議はカナダのバンクーバーで開催される予定であったが、新型コロナウイルスの影響を鑑みてオンラインでの開催となった。会議は、事前に投稿した発表動画を視聴し、各自設けられているチャット欄で質疑応答を行う方式だった。開催期間内であれば好きな時に動画の視聴ができるため、活発な意見交換が行われた。

来年のECCE 2022はアメリカ・ミシガン州のデトロイトで開催される予定である。

2. 研究テーマと討論内容

私は “Architectures for Renewable and Hybrid Renewable Energy Systems” というセッションで “Modular Differential Power Processing Architecture Utilizing Isolated Bus to Virtually Unify Photovoltaic Panel Characteristics in Large-Scale Systems” というタイトルで発表を行った。

発表スライド

近年、環境問題への意識の高まりから従来の化石燃料由来のエネルギーに代わり、再生可能エネルギーの需要が急速に高まっている。中でも太陽光エネルギーを利用した太陽電池システムは、一般家庭用のみならずメガソーラーのような大規模発電システム用途としても設置数が飛躍的に増加している。

太陽電池パネルに部分的に影がかかる「部分影」が発生した場合、パネル内の発電量にムラが生じることでシステム全体の発電量が最大で30%程度低下することが知られている。この問題を解決するために、我々の研究グループは2012年頃から、部分影の生じた太陽電池パネルの発電量を向上可能な「補償器」と呼ばれる電力変換器に関する研究を行っている。これまでの研究はパネル個別に対する補償器であり小規模用途を目的としたものであった。しかし、今後は多数のパネルで構成される大規模発電システムにも補償器が求められる。大規模なシステムでは用途に応じてパネル数や電圧が大幅に異なるため、従来補償器を大規模システムに応用する際には再設計が都度必要となる。

そこで本研究では、モジュール単位で回路を構成しつつ、モジュール間を「絶縁バス」と呼ばれる方式で結合可能な補償器を提案する。提案回路は回路の再設計を要することなくパネルを任意に増設可能である。本会議では、詳細な動作解析と実機検証の結果について報告した。

オンライン開催であるため、自分のセッションだけでなく様々なセッションに参加できた。世界各国の研究者と、回路の設計指針等に関する深い議論を交わすことができ、有意義な時間を過ごすことができた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本会議はIEEEが主催するパワーエレクトロニクスの分野で最高峰の国際学会であり、最先端の研究に多く触れることができた。オンライン開催となり現地との時差が懸念されたが、事前動画を自由に視聴可能であったため有意義な時間を過ごすことができた。また、質疑応答はチャット形式で行われ、通常の学会と比較して容易に質問をすることができた。今回は私にとって2度目の国際会議であり、前回参加時よりも聴衆と活発な議論を交わすことができた。英語力の向上を実感しただけでなく、研究成果を他者に認めていただけたことをとても嬉しく思う。

末筆ながら、本会議に参加するための国際交流助成として、ご支援いただきました貴財団に心より感謝いたします。

令和3年度 国際交流助成受領者一覧に戻る

ページの先頭へ