会場(Moscone Center)
SPIE Photonics Westは2022年1月22日から27日にかけて、サンフランシスコ市(アメリカ合衆国)で開催された国際会議である。主催は国際光工学会(The International Society for Optical Engineering, SPIE)で、「BIOS」「OPTO」「LASE」の3つの主要な会議により構成され、光学に関わる基礎研究から応用まで幅広い研究発表がなされた。本会議は毎年1月~2月ごろにサンフランシスコ市内のモスコーニセンターで開催され、例年では5,000件近い発表がなされる大規模な会議であるが、今回は新型コロナウイルスのオミクロン株が流行中ということもあり、2,000件程度の発表にとどまった。
会場への入場はワクチン接種証明およびマスクの着用が必須で、部外者の立ち入りは厳重に制限されていた。また、会場内のいたる所に消毒液が配置され、PCR検査を受けられるコーナーが用意されるなど、感染対策の徹底ぶりが伺えた。
ポスター発表会場
今回の発表では、位相シフトディジタルホログラフィの高速かつ安定的な実現に向けた、新しい位相シフト方式を提案した。位相シフトディジタルホログラフィは2光波間に位相シフトを与えた複数の干渉縞画像から光波の位相分布を取得する。提案方式では、回折格子によって光波の複製が生じる現象を利用して、一括で複数の干渉縞画像を取得することができる。
発表したセッションは「Quantitative Phase Imaging VIII」で、発表時間90分間のポスター形式であった。発表時間中は10人を超える研究者が訪れ、提案方式の原理や特長、応用先などについて議論を交わすことができた。
今回はポスター発表であったため、質疑応答の時間が限られている口頭発表とは異なり、参加者とじっくり議論することができた。90分間の発表では、多くの研究者と議論を交わすことができ、非常に有意義な時間を過ごすことができた。また、異分野の研究者がふらっと立ち寄り、説明を聞き、議論に発展するなど、現地開催に特有の良さを感じることができた。しかし、英語での質問の聞き取りや表現に苦心する場面が多く、シームレスな会話には程遠かった。今後は、研究活動だけでなく英語力の向上にも力を入れ、より深い議論を交わせるように成長していきたい。
最後に、本会議への参加にあたり、貴財団より多大なるご支援を賜りましたこと、深く感謝申し上げます。