発表会場のホテル
International Conference on Parallel and Distributed Computing, Applications and Technologies (PDCAT)は、並列および分散コンピューティングに関する最新の研究・結果・アイデア・開発やアプリケーションを発表する、世界中の科学者やエンジニアにとっての、主要な国際会議である。PDCATは、2000年に香港で開始され、日本、中国、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、韓国を含む、アジア・オセアニア全域の多くの都市で19年にわたって開催された。
2019年、今年のPDCATは、オーストラリアのゴールドコーストで開催され、募集分野は、並列/分散アーキテクチャ、オペレーティングシステム、画像処理などである。会議では、4件のKeynote Speech、96件のOral Presentationが行われた。
今回、「Effect of Parallel Processing by Duplicating Histogram in Automatic Image Binarization for High-level Synthesis」という題目で発表を行った。
研究の目的は、高位合成 (HLS) が高性能なハードウェアを生成できるように、ソフトウェアプログラムの記述法を開発することである。
発表の様子
ソフトウェアの自動ハードウェア化 (高位合成, HLS) は、ハードウェアの設計開発負荷を大幅に削減しうる重要な技術であるが、ハードウェア構成が考慮されていないソフトウェアを、高性能・省電力なハードウェアに変換することができない。したがって、高性能なハードウェアを生成できるように、高位合成向けのソフトウェア記述法を研究している。
今回は、画像の自動二値化処理において、ヒストグラムを並列に複製し、高位合成が並列処理を自動で抽出できるよう図ったソフトウェア記述法を示した。実験では、ヒストグラムの複製数に伴って、高位合成がデータパスも並列に複製し、その並列度に応じた性能向上が確認された。各並列度における性能向上とハードウェア量のトレードオフを検討し、ヒストグラムを2個並列に複製して並列化した場合、41%のハードウェア量の増加が許容できれば、並列処理によって27%の性能向上が得られることが分かった。
発表では従来法と提案法の違いを問う質問をいただいた。
バンケットの様子
今までの国際会議の経験を活かし、イラストを多く用いたプレゼンテーションを作成して発表を行った。分かりやすいと言ってもらえ、自身の研究をより多くの人に伝えられたと感じた。しかし、質疑応答には自分の英語力不足を感じたため、次の学会までにもう一度勉強しなおそうと考えている。
同じセッションの発表は似た研究内容が多く、ハードウェアに関しての知見を深めることができた。また、他大学の先生や学生と、互いの研究を話し、国際交流を行うこともでき、大変貴重な体験となった。
本会議に参加するにあたり、御支援いただきました貴財団に厚く御礼申し上げる次第である。