E-MRS学会会場入り口
E-MRS (European Materials Research Society) は 1983年に創立され、E-MRSは政府、学界、研究所などの 4,000人以上の会員で構成されています。E-MRS 2019 Spring Meetingは今年で 37年目という歴史のある会議で、非常に多くの各国の研究者や企業の方たちが参加するヨーロッパ最大の国際学会です。基礎研究から応用研究まで幅広く最先端の材料研究に関する議論がされ、今回は6つのトピックと元に28のシンポジウムが開かれました。
次回の開催地は、2019年9月16~19日にポーランドンのワルシャワでFall Meetingが開催されます。毎年、春にはフランス、秋にはポーランドが開催国になるようです。
“Concerted Photoluminescence of Electrochemically Self-Assembled CuSCN / Stilbazolium Dye Hybrid Thin Films”という題目の元ポスター発表を行いました。
私は、電気化学反応を利用した無機、有機、およびハイブリッド材料の創出と光・電気化学エネルギー相互変換への応用に取組んでいます。
討論内容としては、p型化合物半導体であるCuSCNと機能性有機色素のハイブリッド薄膜の作製と機能評価に取組み、中でも非線形光学線形特性有するスチルバゾリウムカチオン色素(DAS)について、特異的なナノ構造の発現と世界初の事例となる協奏的な発光増強機能を見出したこと、同手法によっては、様々な新機能材料を環境負荷の低い溶液プロセスによって低コストに創出できると期待していることを討論しました。
今後は、種々の無機/有機ハイブリッド材料創出を通じて統一的な形成原理の解明と制御手法を明らかにしつつ、特に光機能を中心とした機能評価に取組んでいきたいと考えています。中でも、無機/有機界面構造制御に基づく光電荷分離を利用したハイブリッド型太陽電池や、それを逆転したハイブリッド型EL素子への展開を視野に入れています。
発表の様子
E-MRSという大きな国際学会でのポスター発表は、人も多く、しっかり発表できるか不安でした。しかし、その不安も束の間、ポスターセッションが始まってしまえばたくさんの人とディスカッションすることができました。同時に、英語でのコミュニケーションについて自信を持つことができる貴重な体験にもなりました。この経験は国際会議での大きな成果になったと考えています。
また、ポスターセッション終了後もお互いの研究や進路について、話す機会があり友情が芽生えると共に良きライバルに巡り合うことができました。国際学会は自分の学問を広げると同時に、人と人を同じ研究分野で繋ぐことができる社交の場でもあると感じました。
今回は、ポスターでの発表でしたが、次回は口頭発表にも挑戦できるよう研究や英語スキルに磨きをかけて、自分の研究をより多くの人に発信できるよう努力しようと思います。
最後になりますが、このような国際学会に参加することで、大変貴重な経験ができたのは、丸文財団の多大なるお力添えがあってのものです。厚く御礼申し上げます。