国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和元年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
敷田 蒼
(九州大学 大学院工学部 物質創造工学専攻)
会議名
10th International Conference on Materials for Advanced Technologies (ICMAT2019)
期日
2019年6月23日~28日
開催地
シンガポール Sands Expo & Convention Centre

1. 国際会議の概要

International Conference on Materials for Advanced Technologies (ICMAT) は2年に一度、シンガポールで開催される国際会議であり、材料系の会議として世界で最も大きな国際会議の一つである。今年で10回目を迎える本会議は6月23日~28日の6日間、シンガポールのSands Expo & Convention Centreにて開催された。今回は10回目の記念大会となっており、ノーベル賞受賞者をはじめとした著名な研究者の特別講演9件および45の分野に分類された口頭・ポスターによる研究発表が行われ、3,000人以上の研究者が参加した。

申請者は、“Functional pi-Systems, Materials and Devices”というπ共役機能性材料に関するセッションにて口頭発表を行った。

会場のSands Expo & Convention Centre (手前) とMarina Bay Sands Hotel (奥)

2. 研究テーマと討論内容

“Luminescent Donor-Acceptor π-Conjugated Macrocycles”という題目で口頭発表を行った。

発表の様子

π共役大環状分子は、環状π電子系に起因するユニークな電子的及び構造的特徴を有しており、機能性有機材料として盛んに研究されている。しかし、π共役大環状分子を有機EL材料として利用し、実際のデバイスへと応用した例はほとんど報告されていない。本研究では、有機半導体材料として機能する発光性π共役大環状分子の創製を指向し、電子ドナーユニットと電子アクセプターユニットが交互に環状に連結した大環状分子を設計した。また、対応する非環状分子との比較を行うことで、大環状π共役骨格の特異な分子トポロジーが光学物性に及ぼす影響を調査した。この大環状分子は、環状構造の形成によるLUMOの非局在化によって、非環状分子よりもシャープな発光を示し、さらに、TADFを発現することが確認された。また、大環状分子を発光層に用いた有機EL素子は、非環状分子を用いた素子の約3.3倍に相当する15.7%の高い外部EL量子効率を示すことを明らかにし、本設計指針の有用性を実証した。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

自身の専門である有機エレクトロニクス関連のセッションおよびポスター発表に積極的に参加し議論を交わすことで、各国の研究情勢を把握するとともに、自身の研究に活かせる情報を収集することができた。また、国際会議での初めての口頭発表であったため、質疑応答にはこれまで以上に注力し、意見交換を行った。しかし、本学会を通して、自身の英語能力の不十分さを痛感する場面も多々あったため、今後、自身の主張をより分かりやすく説明できるように英語能力を養っていきたい。
また、自身の関連研究以外にも、4名のノーベル賞受賞者、および各分野の著名な教授の講演を公聴することができ、自身の視野を広げる非常に貴重な体験となった。

最後に、今回の国際会議参加にあたり、貴財団より多大なご支援を賜りましたことを心より感謝申し上げます。

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