SPIE.会場
SPIE.は、光学、フォトニクス、画像処理分野における世界的に権威のある国際光工学会である。PHOTONICS WESTは毎年1月2月頃にアメリカ、サンフランシスコで開催されている。大会の規模は大きく、3つのカテゴリー(LASE,OPTO,BIOS)があり、3ヶ所の会場が用意されていた。私が発表を行ったBIOSのセッション(Photons Plus Ultrasound: Imaging and Sensing 2020)は、光と超音波を融合させた光音響に関する分野であり、4日間(2月2日~5日)行われた。企業の展示会の規模も大きく、非常に多くの企業が参加していた。
次回の開催時期は2021年1月23日-28日の6日間の期間で開催予定である。
ポスターの前にて
本会議では、透過型液晶補償光学(AO)素子を用いた光音響顕微鏡(PAM)によるin vivoマウスの耳内部血管の可視化に関するポスター発表を行った。PAMは高い空間分解能と高いコントラスト画像を提供する。しかし、生体深部組織を観察する際に、NAが高い対物レンズを用いることで生じる球面収差や生体組織の複雑な屈折率、試料の表面形状、光散乱などによる波面歪みが原因で、得られる光音響(PA)画像がボケたり歪んだりする。この問題を解決するために透過型液晶AO素子を用いて、従来の反射型補償光学素子よりも小型・安価・低消費電力でPAMの性能を向上させることができた。In vivoで測定できるようにしたことも今回の内容となっている。討論内容としては、「光音響とは」「従来の反射型補償光学素子との違い」「透過型液晶補償光学素子をPAMに実装することで分解能はどれくらい良くなったのか」「PA波の反射型検出で何ができるようになるのか」など、ポスター全体を通して討論した。多数の意見や質問をいただき、大変有意義な時間を過ごすことができた。
国際学会ということもあって良い刺激を受けた。ポスター発表は1時間30分行われた。口頭発表と違い、質問者と1対1でコミュニケーションが取れることから、お互い納得のゆくまで討論できた。しかしながら、英語力がまだまだ乏しいことからスムーズな会話は困難であった。技術面の話では、質問の意図を取ることはできたが、何度も聞き直し時間がかかった。拙い英語であったが、なんとか伝えることはできたと思う。英語力に関しては強化が必要であると切実に感じた。研究成果に関しては、見にきてくれた人達からは素晴らしいと評価を受けた。今回の国際学会を通して、日本ではなかなか聞けない光音響の話や自分の行っている研究における世界での位置付けを知ることができて、全体的に満足している。
最後に、本国際会議に参加するにあたり、ご支援いただきました貴財団に心より感謝申し上げます。