国際会議会場
国際光工学会が開くSPIE Optics + Photonicsは光学分野において世界最大級の規模を誇り、光学に関する科学技術の発展を目的とした権威ある国際会議の一つである。今年は2019年8月11日から15日にわたって開催され、本会議参加者総数は4,000人以上に達し、多くの招待講演や口頭発表、ポスター発表が議論活発に行われた。
本国際会議ではNanoscience + Engineering Applications、Organic + Photonics Electronics、Optical Engineering + Applicationsの大きく3つのセクションに分かれ、68のConference topicで構成されている。今年は、光制御を可能にする金属ナノ構造で構成されたメタサーフェスに関する多くの発表が行われ、またメタサーフェスを用いたメタレンズに特化したセッションも設けられていた。
また、企業によるブース出展やジョブフェアなども同時開催され、アカデミックな研究者、企業の研究開発者が多角的な見解を元に最先端な科学的情報の共有が為された。今年は180社以上の企業が参加しており、その規模は非常に大きかった。
次回のSPIEは同じくアメリカ・サンディエゴで2020年に開催される予定である。
研究発表の様子
本国際会議では“Three dimensional control of focus position with multi-rings metalens”というタイトルでポスター発表を行った。
金属ナノ構造で構成されるメタサーフェスは、ナノオーダーの超小型デバイスを作成できる光学素子として注目を集めている。その応用例の一つであるメタレンズは超薄型という特性に加えて、近年では可視域かつ広帯域で色収差が殆ど無いアクロマティックという特性の付加に成功した報告例が上がるなど研究が盛んに行われている。
本研究はそのようなメタレンズに焦点位置の3次元制御性を提案するものである。レンズそのものに焦点コントロールを付加することはオプティクスの小型化および能動光学において重要である。そのためこの提案は、ナノデバイスの実装、メタレンズのさらなる実用性の本研究のメタレンズはシンプルな構造かつ安価な製造を可能にしており、またナノ制度の焦点位置制御を有しているので、その実用性はさらに大きい。
議論としては本メタレンズをダイナミクスに発展させる方法が主だった。基板を伸縮性のあるものに変えたり、電圧応答性を示すマテリアルに変えるなどして、焦点位置制御をする方法に関して有意義な意見交換を交わした。
光学分野における最大規模の国際会議で発表できたことは、自身にとって非常に有意義かつ貴重な経験となりました。世界レベルの研究者達と研究内容の意見交換をしたことによって、今まで気づいていなかった課題点や、建設的なアプローチを知ることができたのは今後の研究に活かされると感じています。
加えて、英語で説明や議論をすることができたことも大きな成果の一つであり、自信に繋がった面は大きいです。今後研究していく中で、英語で国際交流をする力は必須です。最低限のコミュニケーションをとることはできたという確信を得たと同時に、引き続き英語力の向上に向けて研鑽に努める所存です。
最後に、本国際会議に参加・発表することができたのは、一般財団法人丸文財団の多大なるご支援のおかげであり、この場を借りて深謝申し上げます。