Pacific Rim International Conference on Advanced Materials and Processing (PRICM) は、3年に一度開催される先端材料と加工に関する国際学会である。1992年に開始されて以来、オーストラリア、中国、日本、韓国、米国の5か国の学術機関または学会によって共同で順番に開催され、材料科学の分野の多くの研究者や学生が参加してきた。10回目となる今回は2019年8月18日から22日までの4日間、中国、西安のXi'an Qujiang International Conference Center (QICEG)で開催された。
申請者は“Materials Characterisation and Evaluation”というセッションにてポスター発表を行った。
“Combinatorial Evaluation for Biocompatibility of High Formable Shape Memory Alloys”というタイトルでポスター発表を行った。発表内容は、高成形性形状記憶合金の医療応用を目指した、生体適合性のコンビナトリアル評価である。本合金は従来の形状記憶合金よりも加工性がよく、複雑な形状のデバイス作製が可能である。しかし、その生体適合性は未評価であり、合金組成が多彩であるため、評価には膨大な時間を要する。そこで本研究ではコンビナトリアル手法を適用し、複数の組成を有するサンプル群を同一基板上に集積した評価基板を作製し、それを用いて分極試験を実施することで、高効率に耐食性の評価を行った。その結果、現在医療デバイスに用いられている二元系Ti-Ni合金と同程度の耐食性を有する合金組成の探索に成功した。
自身にとって良い経験となった。海外でのポスター発表は初めての経験であり、発表前は不安や緊張もあったが、ディスカッションすることができた。しかし、自身の英語力の不足を感じたので、今後はさらなる英語力の向上に努めていきたい。また、他の研究者の方々の発表を聴講し、新たな知見を多く得ることができ、貴重な体験となった。
最後に、今回の国際学会参加にあたり、貴財団より多大なご支援を賜りましたことを心より感謝申し上げます。