シアトルの街並み
2018年9月24日~26日にかけてASC Annual Technical ConferenceとUS-Japan Conference on Composite Materialsとが米国ワシントン州シアトルにて合同開催された。ASCはAmerican Society for Composite Materialsの略であり、米国複合材料学会が年に1回開催している講演会である。今回は日本複合材料との共催として行われており、US-Japan Conference on Composite Materialsも同時に開催された。
講演会は3日間にわたってシアトルのダウンタウンに位置するホテルMotif Seattleで行われ、ワシントン大学によって運営された。日米を問わず複合材料について幅広い国の研究者による講演が行われた。また、ボーイング社を始めとした米国の航空宇宙関連企業の発表も行われ、活発な意見交換がなされていた。次回のASC Annual Technical Conferenceは2019年にジョージア工科大学にて、US-Japan Conference on Composite Materialsは2020年に仙台にて開催予定である。
発表の様子
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は比剛性、比強度に優れた材料であるために主に航空機などへ利用されています。しかしながらCFRPの補強材が糸状の炭素繊維であるため圧縮荷重に対して弱い性質を持っています。すなわち、圧縮強度を決定する要因として、CFRP内の繊維のうねりが考えられています。そこで、CFRP内の繊維がどのようなうねりを有しているかモデル化するために、マイクロフォーカスX線CT装置を用いてCFRPの断層画像を取得し、炭素繊維を三次元モデル化することで試験片内部の繊維を可視化しました。さらに、この3次元モデルを用いて有限要素法による圧縮シミュレーションを行うことで、ランダムな繊維うねりを持ったCFRPが圧縮破壊に至る過程を明らかにしました。
バンケットの様子
本会議では興味深い発表が多くあり、特に自らの研究と非常に近い課題に取り組んでいる研究者と直接意見交換できたのは最大の収穫であった。自身の口頭発表に対して3件の的確な質問があり、今後の研究に役立つ議論ができた。
バンケットや休憩時間には航空機メーカーをはじめ航空宇宙関連企業の方々と話す機会があり、自分が取り組んでいる課題がいかに実際の設計において重要な要素であるかを確認することができた。本会議にて経験したことをもとに、一層研究活動に励んでいきたい。
最後に、今回国際会議に参加するにあたりまして、国際交流援助をいただきました一般財団法人丸文財団に心より感謝申し上げます。