学会会場となったワルシャワ経済大学の講堂
10th International Workshop on Zinc Oxide and Other Oxide Semiconductors (IWZnO) は、ZnOを中心とした酸化物半導体(TiO2・Ga2O3・SnO2なども含む)に関する最先端の研究講演が行われる隔年開催の国際会議です。研究テーマは、バルクおよび表面の特性、薄膜、ナノ結晶、構造と特性の関連、電気・光・磁気特性、さらにそれらのデバイス応用など多岐にわたります。最近は、ZnO・MgZnO・Ga2O3などのワイドギャップ酸化物半導体の物性やデバイス特性に関する発表が盛んです。10回目となる今回は、Elżbieta Guziewicz先生の主催のもと、ポーランド・ワルシャワで開催されました。欧米の研究者に加え、日本・中国・韓国からも多数の研究者が参加しました。9月11日から14日の会期中、67件の口頭発表と45件のポスター発表が行われました。
「A comparative study on SiO2/ZrO2 and SiO2/HfO2 distributed Bragg reflectors for ZnO-based microcavities」という題目で、口頭発表を行いました。
本研究では、省電力な紫外コヒーレント光源として期待されるZnOポラリトンレーザを実現するために、光をZnO活性層に閉じ込めるための分布ブラッグ反射鏡(DBR)の高性能化を試みました。独自のヘリコン波励起プラズマスパッタ法によりプラズマ損傷が少なく平滑な界面を有するSiO2/ZrO2およびSiO2/HfO2-DBRを堆積し、反射・透過などの光学特性を比較しました。従来のRFプラズマスパッタ法や電子ビーム蒸着法により形成されたDBRと比較し、本手法により形成したDBRはZnOの励起子共鳴波長において高い反射率と広いストップバンド幅を示しました。また、紫外線の吸収損失の観点からZrO2とHfO2の光学特性を比較し、ZnO微小共振器に強く結合した励起子ポラリトンを得るためのDBR設計指針を議論しました。
ZnO・MgZnO・Ga2O3など現在盛んに研究されているワイドギャップ酸化物半導体に関する発表を聴講し、世界的な研究動向や研究水準を知ることができました。他グループによるZnOポラリトンレーザの研究発表もあり、情報交換等を行いました。それにより自身の今後の研究方針を明確にできました。
学会参加者による記念撮影
今回発表を行った研究は、学位取得後に昨年度から新しく始めた研究テーマであるため発表に期待と不安がありましたが、うまく発表ができ自信になりました。ZnOを研究している世界の研究者と交流し、研究のモチベーションがさらに高められました。
また、自身の研究に関連するポーランドの研究機関を訪問し、研究環境や研究装置を見学し、研究者と交流しました。自身の研究に活かすことができる有用な知見を多く得ました。
今回の国際会議に参加するための渡航費等を支援していただいた貴財団に深く感謝いたします。