会場のワルシャワ工科大学
E-MRS Fall Meetingは、European Materials Research Societyによって開催される世界最大級の材料会議である。本会議は年に2回、春と秋にヨーロッパで開催され、今回は9月17日~9月20日の4日間、ポーランドのワルシャワ工科大学(Warsaw University of Technology)にて開催された。本会議は21のシンポジウムから構成され、その内容はエネルギー材料、バイオ材料、モデリング、ナノ材料、半導体・電子材料等、多岐にわたる。これらの分野における世界中の研究者が一堂に会し、活発な議論が行われた。私は「Monolithic and heterogeneous integration of advanced materials & devices on silicon」のセッションにて発表・情報収集を行った。
次回は2019年5月にフランスのニースで開催される予定である。
電気的、光学的に優れた物性を有するGeを、安価な絶縁基板上に形成する研究が活発に行われており、各国の研究者が凌ぎを削って研究している。
発表の様子
本研究では、ガラス上に高品質な薄膜を形成する鍵が「Ge中へのSn添加」と「前駆体変調」にあることを明らかにした。Ge中の固溶度をわずかに上回る3.2%のSnを添加すると、結晶粒径の拡大と粒界障壁が低減されることを反映し、正孔移動度は向上した。また、GeSn膜厚を100nmから200nmに増加させることによって、結晶粒径が小さくなるにも関わらず、正孔移動度は向上した。これは、膜厚増加によるGeSn / ガラス界面散乱の減少を示唆している。以上、結晶成長に影響を与える種々のパラメータ(Sn組成、膜厚、堆積温度)を解析し、制御することによって、正孔移動度500 cm2/Vsを達成した。この移動度は絶縁体上に低温形成(> 500 ℃)したあらゆる薄膜の中で最高値である。
上記の研究内容を「Solid-phase crystallization of amorphous GeSn on glass leading to high-hole mobility」という題目で口頭発表した。発表後の質疑応答では、多くの挙手があり、聴衆の関心を集めることができたと考えられる。英語での質問の意図を即座に理解することは難しかったが、何度かやり取りをする中で理解し、なんとか回答することができた。質疑応答だけでなく発表後にも研究者と議論を交わし、更なるデバイス化に向けたアドバイスを受けることができた。また、異分野の最新の研究成果についても知ることができた。
最後に、末筆で大変恐縮ですが、今回の国際会議参加にあたりまして貴財団から多大なご支援をいただきましたこと心より感謝申し上げます。貴財団のご支援により非常に有意義な国際会議へ参加することができ、最先端の研究に数多く触れることで研究へのモチベーションを更に高めることができました。この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。