国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成30年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
井口 拓弥
(近畿大学 総合理工学研究科 メカニックス系工学専攻)
会議名
The 6th International Conference on Multifunctional, Hybrid and Nanomaterials
期日
2019年3月11日~15日
開催地
スペイン国 シッチェス市

1. 国際会議の概要

国際学会会場

第6回多機能性ハイブリッドナノマテリアルに関する国際会議は、材料化学における最先端のトピックを化学から物理まで幅広い分野を横断して議論する、Elsevier B.V.主催の国際会議である。特にシンポジウムセッションでは、バイオ材料、有機材料、複合材料、ナノ材料など、次世代の科学を考える上で重要なテーマが多岐に亘り企画されている。2年周期で開催され、前回の学会では、参加者総数957人(62カ国)、講演総数1,012件(基調講演5件、チュートリアル講演3件、招待講演34件、口頭講演316件、ポスター発表654件)に上る大規模な国際会議である。

また、Conference Chairsは錚々たる顔ぶれであり、マックスプランク研究所、コレージュ・ド・フランスなどのディレクターによって、プログラムの編成が行われた。このような世界トップレベルかつ大規模な会議であり、世界で活躍する研究者との交流・議論を行うことができる国際学会であった。

2. 研究テーマと討論内容

ポスター発表

本国際会議において、「Multiscale prediction of high-performance surfactant molecules by machine learning and dissipative particle dynamics simulation」という題目でポスター発表を行った。

本研究では、機械学習を用いた材料開発アプローチが、高分子から構成される材料の物性予測に対して有効であるかどうかについて検討を行った。
本研究の結果として、機械学習を用いることで界面活性剤の物性および分子構造の予測が可能であることを明らかにし、材料開発にかかるコスト削減が実現し、産業発展への多大な貢献が期待された。

本研究のように、材料科学と情報科学を組み合わせた研究は、人工知能技術が発達した近年でも困難な課題は多く、最先端の研究技術の一つとして大変注目されたポスター発表であった。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本国際会議は、材料全般に関する国際会議であったが、予想以上に情報科学との組み合わせに興味を持っていただきました。本国際会議の発表者の9割以上は、実験分野の研究者でした。しかし、私の研究分野である分子シミュレーションに好意的な興味を持ってもらい、これからシミュレーションに取り組む予定である研究者のための基礎知識について共有することができました。
これによって、今後必ず必要とされる、実験とシミュレーション分野の協力の架け橋となる国際会議でした。

また、シミュレーションの長所として、現在実験では不可能とされている系についても、シミュレーションモデルを構築することによって、対応することができます。今回の国際会議で報告された、未だ未解決とされる実験分野での課題についても、シミュレーションという分野から尽力し、課題解決に努めたいと考えています。
さらに今後は、シミュレーションだけでなく実験分野の知見についても理解を深め、一つの分野にしばられず、幅広い専門性を持つ研究者になりたいと思える国際会議でした。

本会議に参加するための国際交流助成として、ご支援いただきました貴財団に心より感謝いたします。ありがとうございました。

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