SPIE OPTO - Emerging Liquid Crystal Technologies XIII - は年に一度開催され、長い歴史を有する学会であり、参加者は、液晶研究が非常に活発であるヨーロッパの国々を中心としている。ヨーロッパの研究者を中心に多くのネットワークを形成することができ、液晶に関連する光学及びフォトニクス、ディスプレイに関する研究者の積極的なディスカッションが繰り広げられている。また参加者の総数は数千人と大人数であり、海外の研究者たちと多くディスカッションするにはうってつけの場である。
今回は「Nanosheet synthesis of MOF using a hyperswollen lyotropic lamellar phase」という演題で発表を行った。
ナノシートとは厚さ方向がナノメートルオーダーであるのに対して、横サイズがその数百倍以上という高い異方性をもつ二次元単結晶である。しかしながら、現在主流とされているこれらのナノシートの合成手法は、適用可能な物質系が限られており、また、ナノシートの種類によっては、膜厚が数十~数百 nmと更なる薄膜化が課題となっている。筆者は、超膨潤ラメラ相をナノシートの鋳型として用いることで、上述の問題の解決を目指す研究を行ってきた。超膨潤ラメラ相とは、非常に低濃度な界面活性剤からできる液晶の一種であり、この界面活性剤分子が二次元周期構造を示す特異的な物質である。二次元周期構造の親水部は約250 nm、疎水部は約5 nmと非常に薄く制御されており、本研究では、この超膨潤ラメラ相の疎水場をナノシート化の鋳型として用いる新規ナノシート鋳型合成法を開発した。
当日ポスター発表した際には、様々な国の研究者たちが熱心に筆者の研究発表を聴き、発表時間ぎりぎりまで質問も収まらなかった。英語でのコミュニケーションには不安を持っていたが、通常通りディスカッションすることができ、筆者の自信につながる発表となった。
また他のポスターセッションにも積極的に参加し、海外の研究者たちとディスカッションを繰り広げた。他の国際会議に比べて多くの国の人が参加するため、様々な考え方を有した研究者と交流することができ、さらに、そのディスカッションから筆者の研究についてもいいアイディアを得ることができた。