会場・Marriott City Centerの風景
The 17th IEEE International Conference on Nanotechnology (IEEE NANO 2017)が、2017年7月25日から28日の日程で米国、ピッツバーグで開催された。本会議は米国電気電子学会(IEEE)が主催するナノテクノロジに関する全般を網羅した国際会議であり、北米、欧州、アジアの順番で年1回開催されている。会場はMarriott City Centerであり、ピッツバーグのダウンタウンから10分程度の距離にある。
J. F. Stoddart教授
本会議は45セッション30トラックで構成されており、313件の発表が行われた。本年度の投稿総数は420件であり論文採択率は75%であった。本会議の参加登録者数は366名であり、初日夜(25日)にWelcome Reception、3日目夜(27日)にConference Banquet、4日目夜(28日)にはFarewell Receptionが行われ、参加者と交流がすることができた。初日朝にOpening Ceremonyが行われた後、3件の基調講演が行われた。特に2016年にノーベル化学賞を受賞したJames Fraser Stoddart教授(ースウェスタン大学)の基調講演では、カテナンやロタキサンを用いた分子スイッチなどの分子マシンに関する解説があり、大変興味深く聴講した。また、私の研究分野に関連するナノ粒子の応用に関する発表も多数あり今後の参考になった。
来年度のIEEE-NANO2018は7/23~7/26にアイルランドで開催される予定である。
申請者は「Two-Phase Brust-Schiffrin Synthesis of Gold Nanoparticles Dispersion in Organic Solvent on Glass Microfluidic Device」という題目で、マイクロ流体デバイス内での有機溶媒分散金ナノ粒子の合成に関して、ポスター発表を行った。この発表はインクジェット法などの印刷技術を使って電子回路を製造するプリンタブルエレクトロニクス技術の印刷用インクとして用いられる金属ナノ粒子分散液が合成可能なマイクロ流体デバイスに関する内容である。
ポスター発表の様子
金属ナノ粒子分散液は、(1) 溶媒が有機溶媒であること、(2) 粒子径分布が小さいこと、(3) 粒子径が小さいことが必要となるため、有機溶媒に分散した金属ナノ粒子の粒子径制御技術が重要となる。本研究では、ヘキサン、トルエンなどの有機溶媒に分散した金属ナノ粒子が合成可能な相間移動触媒を用いた液相還元法(Brust法)に着目し、Brust法により有機溶媒分散金属ナノ粒子が合成可能なマイクロ流体デバイスを構築した。発表ではナノ材料を専門とされる大学研究者と研究テーマの重要性について議論することで、今後の検討につながる貴重なご意見をいただくことができた。
ピッツバーグの風景
本国際会議で研究成果を発表することで、自身にとって良い経験となった。また、ポスター発表やBanquetにおいて多くの研究者と交流することができ、非常に有意義な時間を過ごすことができた。ポスター発表では事前に準備はしていたが、自身の英語力の不足から、詳細で正確な説明ができず、もっと英語力を身につけなくてはならないことを痛感した。しかし、自身の研究に興味を持っていただいた研究者と議論できたことに充実感を感じ、さらに研究への意欲が湧いた。
最後に、今回の国際会議に参加するにあたり多大なるご支援を賜りました貴財団に心より感謝申し上げます。