国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成28年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
鶴崎 裕貴
(岩手県立大学 大学院ソフトウェア情報学研究科)
会議名
Picture Coding Symposium 2016 (PCS 2016)
期日
2016年12月4日~7日
開催地
ドイツ、ニュルンベルク

1. 国際会議の概要

国際会議の会場Hotel Le Meridien

Picture Coding Symposium (PCS) は主に、ビジュアルデータコーディングの発展に特化した国際会議です。PCSはビジュアルデータコーディングの分野においての先駆けとなっており、最も長い歴史を持っています。また、1969年より、PCSは学術と産業界にビジュアルデータコーディングにおける有意義な議論の場を提供してきています。

第32回となるPCSは、ドイツの歴史的な都市であるニュルンベルクで開催される。開催時期のニュルンベルクには、有名なクリスマスマーケットが開催されている。発表件数はオーラル47件、ポスター49件であった。

2. 研究テーマと討論内容

発表の様子

本研究テーマは、画像拡大の一手法である超解像である。超解像の手法には、入力画像のみを用いた単一画像の超解像と、入力画像とは別に用意した画像を用いる学習型の超解像がある。本研究は、単一画像の超解像の手法の提案を行う。単一画像の超解像の代表的な手法として自己相似性を用いた手法がある。自己相似性を用いた超解像は、エッジなどの単純な構造を鮮鋭に拡大できる手法である。しかしながら、複雑な構造であるテクスチャを鮮鋭にすることが困難であるという問題が残されている。我々は、この原因が入力画像にテクスチャを鮮鋭にするための成分が含まれていないためであると考えた。

本研究は、テクスチャを鮮鋭にするための成分として、ガウシアンノイズを用いる。ガウシアンノイズを用いることで、入力画像に存在しない成分を発生させ、テクスチャを鮮鋭にできることを実験的に示した。しかしながら、ガウシアンノイズをそのまま用いると視覚的な劣化となってしまうため、提案されている自己相似性の超解像に組み込むことでこの問題を回避する。更に提案手法は、Total Variation(TV)正則化を用いる。TV正則化は、入力画像を、エッジと低周波成分である骨格画像と、入力画像と骨格画像の差分で求められるテクスチャ画像に分離できるため、テクスチャに着目した手法を実現した。提案手法による拡大画像のテクスチャは、最新の超解像によるものよりも鮮鋭な結果となった。

また、拡大画像における代表的な客観評価尺度は提案されていなため、本研究では、拡大画像のテクスチャの鮮鋭度の客観評価尺度の提案を行った。画質を客観評価する代表的な手法は、劣化画像と同じ解像度の原画像が必要である。しかしながら、拡大画像における原画像は存在しないため、解像度の異なる入力画像と拡大画像のみで評価する必要がある。 そこで、提案する客観評価手法では、入力画像と拡大画像を64個の周波数帯域に分割し、各帯域の絶対値の平均を降順に並び替えたものを比較することで、拡大画像のテクスチャの鮮鋭度を客観評価した。提案した客観評価尺度においても、提案手法による拡大画像のテクスチャが鮮鋭であることが示された。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

動画像符号化に特化した会議であるため、発表内容も動画像符号化のものが多かったです。ほとんどが動画を対象とした符号化の研究であり、最新の符号化研究の動向を知ることができました。動画像符号化以外の研究発表も何件かあり、有意義な意見交換を行えました。また、学会二日目には、Social Eventもあり、ドイツの文化を知る良い機会となりました。

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