国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成28年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
Pallavi Kisan Patil
(愛媛大学)
会議名
19th International Conference on Molecular Beam Epitaxy (MBE 2016)
期日
2016年9月4日~9日
開催地
Le Corum, Montpellier, France

1. 国際会議の概要

本国際会議は、分子線エピタキシー法で成長された材料の成長機構、物性、素子応用について討議する会議です。分子線エピタキシー法は、当初、化合物半導体の結晶成長方法として発明され、近年は金属、超電導体などいろいろな材料を原子スケールの厚さの精度で積層構造を作製するために使われるようになっています。2年に1度開催され、開催地は欧州、北米、アジアの順に変わります。分子線エピタキシー法は、変調ドープによって作製する高電子移動度ランジスター、半導体レーザーなどのデバイスから、量子ホール効果、分数量子ホール効果に代表されるノーベル物理学賞につながる成果を生み出してきました。近年は、量子ドットや量子細線など、高次の閉じ込め構造が分子線エピタキシー法で作製され、会議の一つの大きな話題になっています。また、一方、赤外の発光材料として注目されている希釈窒化物半導体や希釈ビスマス化物半導体についても活発な議論が行われています。本会議は、私が研究している希釈ビスマス化物半導体についての発表を行うことができる会議であり、また希釈ビスマス化物半導体についての最新の研究動向を拝聴できる会議です。

 

2. 研究テーマと討論内容

My presentation topic was entitled as “GaAsBi/GaAs MQWs Light Emitting Diode”. The energy gap of a new alloy semiconductor, GaAsBi, covers from near infrared emission to far infrared emission. As for my PhD research investigation, I am fabricating the GaAsBi/GaAs MQWs samples by MBE using two-substrate-temperature technique where GaAsBi and GaAs ware grown at different temperature to reduce segregation effects of Bi atoms. I presented PL and EL spectrum from the MQW. The most important part of my presentation, we realized room temperature emission at 1230 nm from the GaAsBi/GaAs MQWs LED by current excitation. The wavelength is the longest among GaAsBi LEDs. It was a nice discussion session with important valuable suggestions by audience from different background. That has given new ideas about my research and also how I can improve it more for the completion of doctoral course.

私の研究発表タイトルは 「GaAsBi/GaAs 多重量子井戸を発光層にもつ発光ダイオード」でした。

GaAsBiは、近赤外から遠赤外の発光をカバーする新しい混晶半導体です。私は博士課程で、二基板温度技術をつかってGaAsとGaAsBiを分子線エピタキシー成長してきました。そのことによってBi原子の偏析効果を抑えることができるからです。会議では試料作製方法、多重量子井戸からの光励起発光と電流励起発光スペクトルを発表しました。私の発表において最も重要な所は、GaAsBi/GaAs 多重量子井戸発光ダイオードの電流励起で1230 nmの室温発光を実現できたことです。現在GaAsBi発光ダイオードで最も長い波長です。討議ではたくさんの貴重な意見をもらいました。博士課程を修了に向けてさらにこの材料の特性を改善できるような新しいアイデアをいただきました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

An invited speaker, who talked about “Dilute Nitride and Bismides”, Dr. Esperanza Luna from Paul-Drude-Institute, Berlin, Germany appreciated our research work and also has made collaboration with our group to help us in structural properties investigation of our samples by transmission electron microscopy technique. Her investigation is very much helpful to me for my recent publication in Nanotechnology. Her TEM observation showed that the GaAsBi/GaAs MQWs grown by the two-substrate-temperature technique have much smaller segregation length and much better lateral uniformity of Bi composition than samples grown by a conventional technique.

希釈窒化物半導体、希釈ビスマス化物半導体について招待講演をおこなったポールドゥルーデ研究所のエスぺランサ・ルナ博士からは、我々の研究を大変高く評価していただきました。その後、博士とわれわれは共同研究を開始し、博士に透過電子顕微鏡を使った観察をしていただきました。博士の透過顕微鏡の観察から、二基板温度技術で作製したGaAsBi/GaAs多重量子井戸がこれまでの試料に比べて格段に偏析長が小さく、また面内のBi組成の均一性が高いことが分かりました。

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