EFMC11はヨーロッパの力学会が2年ごとに主催する流体力学の国際会議で、流体力学の主要な国際会議の一つである。米国や日本からも多くの流体関係の研究者が一堂に会して、情報の交換・研究発表を行う。毎回参加者は約500~800名である。本国際会議は、流体の諸問題の高いレベルでの学術的な研究討論を指向しており、毎回活発な深いレベルの研究討議がなされている。
今年のEFMC11は、スペインのセビリアで2016年9月12日~9月16日まで開催された。参加者は約850名である。9パラレルセッション方式で発表が行われ、活発な研究討議がなされた。
私は、主に、流体力学・サスペンションのセッションに参加、様々な国の参加者と交流し情報収集を行い流体ミクロ・シミュレーション法に関する新たな情報を得た。
研究テーマ:
Brownian Dynamics Simulations on Relationship Between Aggregate Phase of Magnetic Rod-like Particles and Magneto-Rheological
討論内容:
磁性粒子サスペンションは工学分野で大きな応用の可能性を秘めている。従来から行われている研究は球状粒子を母液に懸濁したコロイド分散系を対象とするものが主であった。しかしながら、非球状粒子を用いることにより、球状粒子よりも非常に大きな磁気粘性効果が得られることが期待されている。本研究では、単純せん断流中での強磁性棒状粒子分散系を対象に粒子の凝集構造の形態の相違が磁気粘性効果にどのような影響を及ぼすのかを、ブラウン動力学シミュレーションにより検討した。種々の影響を詳細に検討するために、粒子の磁気特性に基づく正味の粘度を印加磁場に基づくトルクに起因する粘度成分、粒子間相互作用に起因する力およびトルクに基づく粘度成分に分解して凝集形態との関係を詳細に解明することを試みた。
発表後には、磁性粒子間の流体力学的な相互作用の取り扱いをどのようになっているのか、また棒状粒子の拡散係数はどのような式を用いているのかなどの質問をいただいた。
今回で3度目となる国際会議でしたが、英語による口頭発表はとても緊張しました。発表後の質疑応答では、自身の英語のスキルが足りないため、指導教員に補助してもらいました。私は現在、修士1年であり博士課程に進学することを考えているので、いつか質疑応答を自分だけで答えられるように英語のスキルを高めていきたいと考えています。また、会場で出会った研究者や博士課程の学生から研究に対する姿勢や特別研究員に関する話などを聞くことができました。私が通っている大学では、博士課程の先輩が非常に少ないので、とても貴重なお話でした。若手の研究者の方は、ポスドクや博士課程の方が大半であり、修士課程でこのような学会に参加できたことはとても貴重な体験であるということを再認識しました。
最後に、このような貴重な経験をするにあたり、ご支援をいただいた丸文財団様に心より感謝申し上げます。