コペンハーゲン市内の様子
The International Conference on Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves (IRMMW-THz) は、高周波エレクトロニクスや長波長電磁気学とその応用分野において、最も古くそして最大の学会です。第1回は1974年にアトランタで開催されました。最近では、ヨーロッパ・アジア・アメリカの各都市を巡回しながら毎年開催されており、今回は9月25日から30日にデンマークのコペンハーゲンで開催されました。口頭発表およびポスター発表合わせて700件以上の発表が行われました。サブミリ波を専門とした本会議は、初開催されて以来拡大を続け、この会議とその長年に付随する月刊誌は、サブミリ波領域を研究する科学者たちの重要な存在となっています。
本会議において、私は “Off-axis THz digital holography by use of THz quantum cascade laser and uncooled micro-bolometer array detector” というタイトルでポスター発表を行いました。
ディジタルホログラフィは撮像素子と干渉計を組み合わせて物体のホログラムを取得し、それをコンピュータで数値再構成アルゴリズムを用いて再構成することで、ホログラムから物体表面の3次元画像を再生する技術です。従来のディジタルホログラフィでは可視光が用いられていましたが、不透明物体の内部構造を観察することは困難でした。しかし、光源にテラヘルツ波を用いれば、物体の表面形状だけでなく内部構造の可視化も可能となります。このようなイメージング技術は、プラスチックやセラミックなどのソフトマテリアルに対する非破壊検査に有用です。
発表では、3THzのCWレーザーを光源としたオフアクシスディジタルホログラフィのシステムにより得られた不透明物体の3次元測定結果を示しました。従来の3次元イメージング技術と比較した場合の違いについて質問を受け、ホログラフィを用いることでリアルタイム測定を可能にしていることを示しました。
ウェルカムレセプション
学会にはテラヘルツ領域を扱っている世界中の研究者が参加しており、様々な講演を聞くことができて、勉強になりました。その中で、自身の研究のあり方や目標について改めて考えることができました。また、ポスターセッションなどで多くの方々と英語でコミュニケーションをとる機会があり、非常に良い経験ができました。海外の方ともっと話がしたいと思うようになり、英語力を高めることへの意欲が湧いてきました。バンケットでは、様々な国から来られた方と会話ができました。研究に関する話のみならず、お互いの文化や生活についての会話もあり楽しかったです。本会議に参加したことで、研究に対するモチベーションを高め、国際力も向上できたと感じます。
最後に、本国際会議の参加に当たり多大なるご支援をいただきました丸文財団に心より感謝申し上げます。