シリコンバレーの街並み
The Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO)は毎年アメリカにて開催されるレーザー関連の国際学会である。学会はテクニカルプログラムと併設される企業展示やその他イベントが行われるエキシビションとで構成される。テクニカルプログラムでは計六件のプレナリーセッションが開催され、内一件が東北大学 中沢正隆教授による大容量光通信に関する講演であった。中沢教授による講演は私が来期から就職する企業の新規事業に関したものであり、大変興味深い講演であった。エキシビションホールでは日本企業のエリアが設けられており、日本企業の頑張りを感じた。
最後に、LED照明や電気自動車、電動立ち乗り二輪車など、ハイテク技術が溢れかえっているといった、想像していたシリコンバレーとは異なり、街自体はアメリカの田舎街のように感じた。来期から、ファイバレーザー関連企業に就職することが決定しており、また参加できるよう、日々精進していこうと実感した。
来年の開催は5月14日から19日、アメリカ・サンノゼにて予定されている。
学会会場
発表の様子
レーザーの産業応用は年々増加し、近年、レーザー装置の高出力化、短波長化、ファイバレーザーモジュール化が期待されている。従来まで用いられてきたファイバレーザーは赤外波長帯域であり、可視光を直接発振可能なファイバレーザーは皆無であった。我々は可視域に蛍光波長帯域を有する希土類元素の一つであるPrに着目し、フッ化物ファイバのコアにPrをドープした、可視光直接発振可能なファイバレーザーを開発している。本発表での発表題目は、“Visible laser oscillation in single-mode Pr-doped double-clad structured waterproof fluoro-aluminate glass fiber”であり、シングルモードコア及びダブルクラッド構造を持つ可視光直接発振可能なPrドープ耐候性フッ化物ファイバ (Pr:DC-WPFGF) の開発に世界で初めて成功した研究成果について発表を行った。従来のPr:WPFGFに比べ、シングルモードコア構造により高ビーム品質化を達成し、ダブルクラッド構造による高出力マルチモードLDを用いた効率的励起が可能となった。
本発表では二件の質問をいただいた。一つ目にファイバコアへのPrドープ濃度に関する質問、二つ目に従来のフッ化物ファイバ(ZBLAN)との相違点についての質問であり、多くの研究者に高い関心を持っていただけたと実感した。
本国際会議では多くの研究者との交流を深めることができた。エキシビションホールでは、ポスターセッションが開催され、レーザー関連の学術発表が行われた。テラヘルツ波やナノフォトニクス、紫外域半導体レーザーなど今後の光学産業を牽引していくことが期待されている最先端の発表に関して深く議論することができた。エキシビションには、波長650nmから1,100nmまでを発振可能な世界最大の大きさを誇るGT社のTi:Sapphire結晶が展示されており、GT社のエンジニアから、作製方法や光学特性、用途などについての興味深い議論をすることができた。また日頃、閲読している論文の研究者による口頭発表を公聴することができたことなど、大変刺激的な体験をすることができた。
この度の海外渡航にあたり、貴財団には多大な御支援いただきました。
厚く御礼申し上げます。