ポスター会場の外観
本学会はAmerican Ceramic Societyが主催する国際学会であり、毎年アメリカのフロリダ州デイトナビーチで開催されている。ICACCは1977年から始まり、エンジニアリングセラミックスの研究者が世界中から集まる場のひとつである。学会では研究発表だけでなく、セラミックス関連企業ブースもあり、産学の連携に力を入れている。研究発表は、固体酸化物燃料電池(SOFC)や高分子複合材、3-Dプリンタ技術など20のセッションがあり、全体の口頭発表は801件、ポスター発表は130件であった。今回参加したポスター発表は3・4日目に行われた。次回は2018年1月21~26日に同会場で開催される。
窒化アルミニウム(AlN)は高熱伝導率・低電気伝導率で、熱膨張率が低くSiと同程度であることから、集積回路などの放熱材としての応用が進められている。特にファイバー状AlNは、絶縁基板の樹脂の熱伝導率を高める放熱フィラーとして注目されている。しかし、従来のファイバー製造法は長時間を費やし高コストであるため、本研究では燃焼合成法によりAlNファイバーを効率的に製造することを目的とした。燃焼合成法は、原料物質間の発熱反応が自己伝播することを利用した材料合成法であり、高純度のAlNを製造することができる。本実験では原料AlにMgを少量添加してるつぼに充填し、窒素ガス0.10-0.40 MPaにて電圧40V、電流60Aを10秒間通電して燃焼合成した。生成物はXRD、SEMで解析し、TG-DSCで燃焼合成中の反応機構について調査した。
XRD結果から、窒素圧力0.20-0.40 MPaで高純度のAlNが生成したことがわかった。また、SEM結果から、すべての圧力でAlNファイバーが生成し、圧力増加に伴ってファイバーのアスペクト比が増加したことがわかった。さらにTG-DSCより蒸気圧の高いMgが窒化することでより安定なAlNの生成を促し、AlNファイバー形成に寄与すると推察された。この研究により、革新的なAlNファイバー合成法の可能性が示唆された。
本学会で、AlNファイバーの成長機構について質問を受けたので、今後生成物のより詳細な解析により成長機構の解明を進めていきます。
国際学会で研究発表するにあたって、英語の習得は必須であることを痛感した。日本人の発表者も多かったが、言葉が出てこないために説明時間が長引いてしまったことや、質問が聞き取れないということがあり、十分な議論がなされない発表がいくつかあった。研究に対する意見を交わして、考察を深めることが学会の参加意義だと思うので、原稿をつくるだけでなく、会話するために英語を学ぶ必要性があると感じました。
最後に、本国際会議へ参加するにあたり「国際交流助成金」を交付してくださった丸文財団に深く感謝いたします。