ハワイコンベンションセンター内の
ポスター会場入り口
環太平洋国際化学会議 (International Chemical Congress of Pacific Basin Societies, PACIFICHEM) は、5年に一度ハワイ州ホノルルで開催され、日本、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、中国の化学会が共同主催する非常に大規模な国際学会である。1984年に設立されて以来、本大会で7回目の開催となる。PACIFICHEM 2015 では、分析化学、無機化学、高分子、有機化学、物理化学、農芸及び環境、生化学、材料、エネルギー及び物質生産、医療といった11分野にわたって334つのシンポジウムが組まれ、その中で17,000を超える口頭・ポスター発表が行われた。12月15日から12月20日にわたって開催され、ハワイコンベンションセンター、マリオットワイキキビーチ、ヒルトンハワイアンビレッジ、シェラトンワイキキ、ロイヤルハワイアンホテル、ハイアットリージェンシーの各会場において、活発な議論がなされた。
発表の様子
マリオットワイキキビーチの会場にて
本会議の分析化学分野の直接型及びメディエーター型バイオエレクトロカタリシスのセッションにおいて、“Direct bioelectrocatalysis of PQQ-dependent pyranose dehydrogenase adsorbed on a glassy carbon electrode at various pH levels”というタイトルで口頭発表を行った。担子菌由来の新規なピロロキノリンキノン(PQQ)ピラノース脱水素酵素に関して、その電子移動反応と酵素電極反応についての研究結果を発表した。
本酵素を用いて、電極との直接電子移動型の酵素電極反応が可能であることを示した。これにより、第3世代型のアンペロメトリックバイオセンサーへの展開が期待できる。直接電極反応を利用して、酵素内のPQQとヘムの酸化還元電位を決定することに成功し、本酵素の分子内電子移動機構が電位差によって制御されていることを示唆する結果を得た。さらに触媒ドメインだけで、電極と直接電子移動反応が可能であることも報告した。
ハワイコンベンションセンターで撮影した
研究室メンバーと先生との集合写真
口頭発表後、同セッションのポスター会場にて、座長やオーガナイザーを務めていた先生とディスカッションする機会があり、海外グループの研究者らと知り合うことができた。そのうちの一人の先生とは、共同研究に関する打診もあり、現在検討しているところでもある。他セッションにも参加し、ヘムや銅といった金属タンパク質に関して生物無機化学分野の最新のトピックについて知見を得ることができた。
また会場間のシャトルバスを待っている際に、留学予定先の候補のひとつであったドイツの先生を偶然お見かけし、幸運にも直接お話しする機会が得られた。バスの中で隣の席に座らせていただき、お話を伺うことができた。本学会への出席は、研究成果の発表だけではなく様々な海外研究者と知り合うチャンスがあり、非常に実りのあるものとなった。最後に、本会議の参加の機会をいただいた丸文財団に心より感謝申し上げます。