国際会議META'15は、メタマテリアル、フォトニック結晶、プラズモニクス等のナノ光学に焦点を置いた会議である。本研究分野での本会議の認知度は非常に高く、最先端の研究を牽引する数多くの研究者が参加している。今回で6回目を迎える今年は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市に位置するニューヨーク市立大学シティカレッジ校で開催された。総数38セッションから成り、総会講演・基調講演が各々8件、招待講演を含む口頭発表が489件、ポスター発表が237件、40カ国700人を超える出席者があった。ニューヨーク開催ということもあり、参加者の多くがアメリカとヨーロッパからで、2~3割がアジア諸国、日本人の参加者は30人弱であった。最も多かった発表内容は、メタサーフェスに関してで、それに続き、プラズモニクスとナノフォトニクス関連が多く発表されていた。
会場
総会講演の様子
ポスター前にて
ナノサイズの金属微粒子や金属微細構造に、光を入射した場合、金属内の電子と光の相互作用により、金属表面に光増強場を伴う表面プラズモン共鳴が生じる。この現象を利用して、バイオケミカルセンサー、太陽電池、波長変換フィルター、光導波路など、様々な光情報デバイスへの応用が進められている。本研究分野では、使用する金属の格子欠陥などによって生じる光損失をどう減らすかが課題のひとつとして挙げられており、本会議において我々は、「石英基板上への単結晶銀ナノピラー構造の作製および光学特性評価」について報告した。
簡便な物理的作製手法を利用し、透明性に優れるアモルファス基板上への単結晶ナノ構造の作製に成功したことで、想定していた以上に学会参加者の注目を集めることができた。従来の多結晶ナノ構造との特性比較、単結晶部分の大面積化など、自身が今後の課題と挙げている内容についても、貴重な意見をいただくことができ、活発な議論を行うことができた。
公式ポスター
英語で言いたいこと伝える難しさを痛感したが、多くの海外研究者に興味を持っていただき、これからの研究活動に役立つ情報を数多く得ることができた。また、本会議を通して、単結晶構造を積極利用している内容を10件弱確認することができた。年々テーマ数が増えており、自身の研究の方向性を再認識できる良い機会となった。
印象深かったことは、いままで論文でしか知らなかった著名な研究者が、普通に目の前で話していたことで、とても感慨深く、貴重な機会が得られたと感じた。特に、自身のポスター発表に対して、Bristol大学のSir Michael Berry先生が質問してきたのは驚きだった。
最後に、このような大変貴重な機会を提供していただきました一般財団法人丸文財団に心より感謝を申し上げると共に、貴財団の益々のご発展をお祈りし、本成果報告とさせていただく。