会場前にて
Surface Modification of Materials by Ion Beams(SMMIB)はイオンビームによる材料の表面改質を扱う唯一の学会です。隔年で開催されており、今回が19回目ということで40年近い歴史を持ちます。会議は5日間にわたって行われ、総計160以上のプレゼンテーションがあり、200人を超えるイオンビーム研究者が集まりました。
開催場所はタイ王国北部のチェンマイという都市でした。タイ王国第2の都市であり、その美しさから「北方のバラ」とも呼ばれる街です。次回SMMIB-20は2017年夏にポルトガルのリスボンで行われる予定です。
ポスター講演の様子
“Metallic particle formation by ion beam irradiation in liquid”という題でポスター発表を行いました。金属イオンとアルコールを含む水溶液に放射線を照射すると、水が放射線分解されたのち、種々の化学反応を経て金属微粒子が生成されます。イオンビームを使ってこの反応を起こした報告はほとんどないのですが、イオンビームは他の放射線と比べて高密度に反応が起こるため、他の放射線で作れなかった微粒子を作れる可能性を持っています。今回の発表では、イオンビームの特性を知り新規材料開発に繋げるため、液体中イオンビーム照射により白金微粒子、銅微粒子、白金-銅複合微粒子生成を行った結果について報告しました。
イオンビームを液体中へ照射したという例もイオンビームにより微粒子生成をしたという例もほとんどなかったためか、様々な方から“nice idea”, “interesting”という言葉をいただきました。またディスカッションを通じて、発表を見た人がどのような部分に興味を持つのか、どの部分をより深く突き詰めるべきなのかを知ることができ、大変有意義でした。
Student Poster Award賞状
本発表の内容を評価され、Student Poster Awardにて最優秀賞をいただけました。国際学会に出るのも英語でポスター発表をするのも初めてだったにも関わらずこのような賞をいただくことができ、大変嬉しく思うと同時に大きな自信となりました。
タイ、そして東南アジアに来たのも初めてで、日本とも西洋とも違う文化を知れたという意味でも大変勉強になりました。
このような実りある国際学会への参加を支援してくださった一般財団法人丸文財団に心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。