国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成27年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
裵 正男
(大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻)
会議名
IEEE Biomedical Circuits and Systems Conference 2015
期日
2015年10月22日~24日
開催地
Atlanta, Georgia, USA

1. 国際会議の概要

IEEE Biomedical Circuits and Systems Conference (BioCAS 2015) は医学や生命科学分野の中でも、特に将来の医療機器およびシステムに焦点を置いた学会である。本学会では、バイオ応用が期待される回路やシステムなどの全体的な内容を取り扱っている。バイオ用途回路・システムの分野において本会議の認知度は非常に高く、最先端の研究を手掛ける多くの研究者が参加している。今回の学会は米国のアトランタで10月22日から24日までの3日間にわたって開催された。またプログラムはライブデモセッションを含め、チュートリアル講演と基調講演がそれぞれ3件、口頭発表45件、ポスター発表133件実施された。大学や研究機関の研究者だけでなく、企業の技術者も多く参加し、会場は大きな活気を見せた。

会場

基調講演の様子

2. 研究テーマと討論内容

発表の様子

私の研究テーマは、人体に装着もしくはその体内に内蔵し、生体信号を測定する医療機器の実装のために必要な超低消費電力RFアナログ/デジタル集積回路技術である。今回の学会で「A Low-Voltage Design of Controller-Based ADPLL for Biomedical Devices」というテーマ で口頭発表を行った。内容は、電源電圧0.7 Vで動作するMICS (Medical Implant Communication Service) 帯向けADPLL (All-Digital PLL) の設計、および試作チップの実測による性能検証である。本研究で提案したコントローラ・ベースADPLLは既存の研究に比べて複雑さが少なく、消費電力も低減できる利点がある。また、位相補間技術を用いたデジタル位相制御により位相誤差を低減できるのみでなく、高速ロック時間を得ることもできた。Standard-Cellベースのデジタル回路を用いた高効率設計技術も駆使することで、低電源電圧での動作を可能とし、消費電力を削減することができた。130-nm CMOSプロセスを用いて設計、試作したチップの実測により、既発表の研究と比較しても良好な位相雑音とロック時間の性能を確認した。回路の構造と設計方法と測定結果について発表し、質疑応答では位相雑音について議論した。また、同様の研究をしている研究者と集積回路設計について様々な意見交換をしたが、これを今後の研究に活かしていきたい。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

フェアウェル・レセプション

本学会を介して、自分の研究分野に関連する様々な情報が得られただけでなく、そこで多くの参加者との交流を深めることができました。バイオ応用回路・システムに関する様々な研究に触れることができた他、海外で活躍されている著名な研究者の発表も聞けた良い機会でした。またフェアウェル・レセプションでは、自分と研究分野が同じ博士課程の学生だけでなく、他の分野の研究者とも食事や会話を楽しむことができました。

最後に、本学会への参加にあたってご支援をいただいた一般財団法人丸文財団に心より感謝いたします。

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