国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成26年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
吉岡 大貴
(九州大学 システム情報科学府 電気電子工学専攻)
会議名
The 7th Asia-Pacific Conference on Transducers and Micro/Nano Technologies (APCOT2014)
期日
2014年6月29日~7月2日
開催地
韓国,大邱

1. 国際会議の概要

学会会場受付

The 7th Asia-Pacific Conference on Transducers and Micro/Nano Technologies (APCOT2014)は、韓国の大邱で開催された国際会議で、固体センサ、マイクロアクチュエータ、微小電気機械技術やナノテクノロジーによるシステムに関する研究を取り扱っています。今回は、物理センサや化学センサ、生体医療の発表が特に多く見受けられました。参加者は大学や研究機関を中心に、韓国、日本、インド、タイなどのアジア圏から集まりました。

2. 研究テーマと討論内容

私は「Odor Discrimination by Fluorescence Spectroscopic Imaging」という題目でオーラル発表を行いました。匂いが持つ情報には質、強さ、空間分布などがあります。従来のガスセンサでは匂いの質や強さを検出することはできますが、空間分布を検出することは困難です。これに対し、本研究では匂い可視化センサの開発を目標としています。蛍光物質と匂い物質間の相互作用により発生する蛍光変化を撮影することで、匂いの情報を画像という形で扱えるようになります。これまでは、センサをかざし匂いを写し取ることで鮮明な手の形を検出することで高い空間分解能を示し、また、マルチスペクトルイメージングにより匂いの識別可能性を示してきました。

学会会場にて

今回の発表では蛍光物質としてフルオレセインと硫酸キニーネを用いることで、三種類の匂い物質(サリチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヘキサン酸)の識別を行いました。マルチスペクトルイメージングにより9つの波長で蛍光を観測することで、匂い物質ごとに複数の蛍光変化を得ることができます。このようにして得られた画像から特徴量を抽出し、それらを比較することによる具体的な匂いの空間的識別法を提案しました。この識別法により、蛍光プローブの匂い識別能の調査が可能となり、これまで用いてきた単一蛍光プローブ(一種類の蛍光物質のみ使用)では匂い識別能が低く、今回用いたマルチ蛍光プローブ(複数種類の蛍光物質を使用)では匂いの識別能が高いことを示しました。

質疑応答では最終的な応用例に関してご質問をいただき、物体に付着している匂いを写し取ることで人の追跡などに役立てる、という旨で返答しました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

ポスター会場の様子

初の国際学会参加ということもあり、期待と緊張を伴うものとなりました。ポスター発表では、圧電素子の空間分解能向上の研究や肺炎の原因菌を蛍光により検出する研究等、興味を引かれるものが複数見受けられました。特に、自身の研究を楽しそうに紹介されている研究者がいらっしゃったのが印象深かったです。オーラル発表では自身の研究が海外の研究者からどのように見られるのかを知れる良い機会を得ることができました。しかし同時に、質疑応答では英語をうまく聞き取ることができず、英語力不足を痛感しました。本国際会議を通して、今後の研究や国際学会への課題やヒントを多く得ることができました。

末筆ながら、今回の国際会議への参加にあたり、多くの支援をいただいた事を心より感謝いたします。

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