学会会場(上)、会場のエントランス(下)
本会議は、International Society of Electrochemistry (ISE) が毎年秋に開催している年会で、第1回は1949年にブリュッセル (ベルギー) で開催され、50年以上の長い歴史をもつ電気化学分野における世界最大級の国際会議である。今回は、ローザンヌ (スイス) のEcole Polytechnique Fédérale de Lausanne (EPFL) 内のSwissTech Convention Centerで開催された。
本会議は、リチウムイオン二次電池や燃料電池などの蓄電デバイス分野に加えて、分光、生物電気化学などの幅広い15分野で構成され、口頭およびポスター発表の件数は1,300件程度である。日米欧をはじめとする世界20ヵ国から著名な研究者・技術者が1,500名程度集い、最新の研究成果の発表および討論が行われた。本校の教授で、色素増感太陽電池の開発者として世界的に著名なグレッツェル先生によるチュートリアルやISE賞受賞講演が行われた。
次回は、2015年10月4日から6日間、台北 (台湾) のTaipei International Convention Center (TICC) で開催される。
ポスター発表終了後の報告者
本会議において、“Electrochemical Properties of The Gel Electrolyte Formed From Novel Low Molecular-Mass Organic Gelator” の題目で発表を行いました。新規に開発した非プロトン性の低分子有機ゲル化剤を用いて構築したリチウムイオン二次電池用ゲル電解質のイオン伝導度は、室温に加えて0℃の低温条件でも 2.2 mS cm-1と電解液のみの場合 (2.8 mS cm-1) と同程度の値を示しました。これは、一般的なポリマーゲル電解質のイオン伝導度と比較して100倍程度高い値であり、現在のリチウムイオンポリマー二次電池と同程度の安全性に加えて、高いイオン伝導度の維持を実現した重要な成果である。
今回のポスター発表では、ゲル電解質の電位窓や充放電特性に関する質問など、多くの研究者と活発な討論を行うことができました。
ローザンヌ大聖堂と街並み
本会議に参加し、新規に開発した非プロトン性の低分子有機ゲル化剤を用いて構築したリチウムイオン二次電池用ゲル電解質の電気化学特性について発表しました。ポスター発表では緊張もありましたが、世界各国における大学・企業の研究者とコミュニケーションを取ることができました。活発な討論をする中、海外の学生と仲良くなることができました。また、本会議は、多様なセッションがあるため、リチウムイオン二次電池分野だけではなく、その他の蓄電デバイス分野の研究者との討論および学術的な意見交換を行うことで、研究に対する新しい視点や考え方を得ることができました。加えて、レアメタルフリーなナトリウムイオン二次電池やイオン液体を電解液として用いた次世代電池に関する最先端の研究動向を調査することができました。
最後に、本会議への参加を通じて貴重な経験をさせていただくにあたり、多大なるご支援をしてくださいました丸文財団の皆様に心から感謝申し上げます。