会場の写真 1
「International Solvothermal and Hydrothermal Association Conference」は、ソルボサーマル法および水熱法に焦点を当てた学会です。元来別々に行われていたソルボサーマル法に関する国際会議と水熱法に関する国際会議が統合され、溶媒の種別にかかわらず高温高圧技術についての議論を深めることを目的として行われており、2014年で4回目の開催となりました。ソルボサーマル法および水熱法に関する研究者・技術者が一堂に会し、ソルボサーマル法および水熱法の基礎から応用に至るまでの議論が行われました。
今回はフランスでの開催であったことから、フランス、イギリス、ドイツ、デンマーク、ロシアなどヨーロッパの研究者が多く参加しており、ソルボサーマル法・水熱法に関する先進的な議論が交わされました。また、討論内容は幅広く、16のトピックで講演が募集され、3ヶ所の会場を用いて3日間にわたって、会議が開催されました。3件の「plenary lecture」に加えて、15件の基調講演、14件の招待講演が行われ、充実した会議となりました。
発表の様子
筆者の研究内容は、超臨界水熱合成における複合酸化物ナノ粒子の生成機構解明です。本会議ではペロブスカイト型の複合酸化物のうち、ジルコニウム系の酸化物ナノ粒子について口頭発表を行いました。反応時間を変化させた時分割の実験結果から、反応時間が粒子のサイズ・組成・構造に与える影響を明らかにし、それに基づくナノ粒子生成機構を提案しました。また、放射光X線を用いた高エネルギーX線回折実験による、バリウムジルコネート粒子生成のその場測定の結果も合わせて発表しました。その場測定によって得られた、超臨界水中での複合酸化物ナノ粒子の構造とそのミリ秒オーダーでの構造変化に関する結果は、注目を集め、海外の研究者と活発に議論を行うことができました。本研究集会は、本研究成果に対して非常にマッチングが良く、当該分野の専門家との有意義な討論を行うことができました。特に、今回提案したナノ粒子の生成メカニズムのうち、粒子サイズが増大する現象の要因については、さまざまな考察を加えられる可能性があることが指摘されました。このようなコメントは今後の研究の新たな展開につながる貴重なものでした。
会場の写真 2
今回の会議において世界各地の研究者とコミュニケーションをとることができました。特に、筆者が行っている放射光X線その場測定の専門家であり、本会議の基調講演を行ったIversen先生(デンマーク)と実験の詳細に関する情報交換を行えたことが、今回の会議の中では非常に有益でした。また、水熱法の大家であるByrappa先生(インド)、Yshimura先生(台湾)と直接質問や議論を行うことができました。また、本会議のチェアマンであるAymonier先生(フランス)からも研究発表に対してコメントをいただきました。さらに、自分の研究と非常に関係が深い研究をされているPhilippot先生(フランス)とは、過去の論文の内容も含めて詳細な議論を行うことができました。また、先生方だけでなく同世代の学生とも話す機会があり非常に刺激を受けました。
本会議に参加し、多くの発表を聞き、さまざまな研究者と話すことで、研究の新たな展開の発想を得ることができました。また自身のプレゼンテーションスキル、英語力も含めて全体的にレベルアップする必要があると痛感しました。今回、このような大きな国際学会で口頭発表を行うというのは、筆者にとっては初めてのことであり非常に良い経験になりました。今後さらに、研究に精進してまいりたいと思います。
最後になりましたが、本会議への参加にあたり多大なる支援をいただきました貴財団に深く御礼申し上げます。