国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成26年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
ヴォダルツ ジギー
(早稲田大学 先進理工学研究科 応用化学専攻)
会議名
226th Electrochemical Society Meeting (ECS Meeting)
期日
2014年10月5日~9日
開催地
Mexico、Cancun、Moon Palace Resort

1. 国際会議の概要

会場となったMoon Palace Resort

ECS meetingは、米国の電気化学に関する学会、Electrochemical Society(ECS)が主催する国際的な講演会で、電気化学に関する最新の研究について討論することを目的として、春季と秋季の年に2回開催されています。226回目となる今大会は、メキシコの電気化学会La Sociedad Mexicana de Electroquímica (SMEQ)との共同大会であったため、メキシコ、カンクンにて10月5日から9日の期間で開催されました。Electrochemical Societyは、電池、化学・バイオセンサー、腐食をはじめとした13の電気化学分野に関する大規模な学会で、今回の講演会では世界中から2,000人近くが参加し、50のシンポジウムに2,200件を超える発表がありました。近年のエネルギー問題への関心が強まっていることもあり、特に電池関連の会場に参加者が集中することが目立ちましたが、それ以外の会場でも各分野の先端をゆく研究者により活発した議論が交わされていました。

次回は227th ECS meeting として米国イリノイ州シカゴにて2015年5月24日から28日にかけて開催される予定です。

2. 研究テーマと討論内容

発表ポスターの前で

ハードディスクドライブ(HDD)の高記録密度化に応える技術の一つとして、私たちは磁性体ドットが数ナノメートル間隔で規則配列したナノ構造体(ナノドットアレイ)を有するビットパターンドメディア(BPM)と呼ばれる記録媒体技術に着目し、その形成手法について研究しています。パターン媒体の作製法には汎用性の面から溶液を用いないドライプロセスが主流ですが、ウェット(化学)プロセスは制御が難しいものの低コストかつ高性能な構造を作製出来る可能性を持っています。そこで私は界面反応の精密制御を活かしてウェットプロセスによる磁性材料の作製に取り組んでいます。具体的には、電子線描画法により作製したナノドットパターン基板に対して、電気めっき法により磁性材料を充填する検討を行っており、様々なパラメーターを制御することでドライプロセスを上回る汎用性を提案することが目標です。従来の検討では、高い特性を有するナノドットアレイの作製を試みましたが、ナノ構造体に対するめっきメカニズムは明確にされていません。今後ナノデバイスの更なる微細化と特性の向上のためには、めっきプロセスの制御及びメカニズム解析が必要とされています。

本講演会では、「Characterization of Electrodeposited Co-Pt Nano-dot Array at Initial Deposition Stage」という題目で、めっき条件(印加電位)とパターン基板のドット径が、磁性材料であるCo-Ptの初期の析出メカニズムに及ぼす結果に関して、ポスター発表を行いました。発表の際には、磁気記録媒体を研究室されている企業の方や、同分野の大学研究者や教授の方に興味を持っていただき、本手法が磁性ナノ構造体の作製プロセスとして有用であることをうまく示せたと感じました。また、Co-Ptナノドットアレイの特性向上に向けた課題点、析出メカニズムの妥当性について議論することができ、今後の検討につながる貴重なご意見をいただけました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

ホテルの部屋からの景色

今回の講演会は、自身にとって初めての国際会議ということもあり、研究内容をうまく伝えられるか不安でしたが、英語を用いた研究室のゼミや研究室内の留学生との英語でのコミュニケーションのおかげで、自分が思っていた以上にうまく発表を終えることができ、大きな自信となりました。また、発表時には複数の教授の方々と議論することができ、同分野でのネットワークを築くことができたのは大きな成果でした。さらに、世界中から集まった同世代の学生たちのポスター発表や講演での議論はとても刺激となり、研究者として自分も頑張らなければいけないと感じました。

今回の開催地となったカンクンは、カリブ海有数のリゾート地であり、世界中から訪れた観光客と話す機会もあり、研究において視野を広めただけでなく、人生において貴重な経験を積むことができ、とても有意義な講演会となりました。

最後に、今回の国際会議に参加するにあたり多大なるご援助を賜りました貴財団に心より感謝申し上げます。

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