UK Colloidsは英国ロンドンにおいて隔年で開催されている欧州最大規模のコロイド界面化学分野の国際会議である。参加者は約300人であり、微粒子・ナノ粒子、界面活性剤、ポリマー、バイオマテリアルなどのソフトマテリアルに関する先端的な研究発表が相次いだ。
申請者は本国際会議の中の“The Next wave of Nanomaterials for Biomedical Application”シンポジウムにおいて、口頭発表による講演を行なった。申請者の最新の研究成果を発表し、関連分野の研究者と非常に有意義なディスカッションができたことは大きな収穫であった。
申請者は、優れた磁気特性を有するFePtAuナノ粒子を新奇に合成し、得られたFePtAuナノ粒子が表面プラズモン散乱特性も同時に有することを見出した。通常FePtナノ粒子は表面プラズモン散乱特性は示さない。FePt1-xAuxナノ粒子の磁気特性と表面プラズモン散乱特性をAuの含有量(x)を変化させて系統的に調べた。その構造や物性を、TEM、STEM、XRD、XPS、UV-vis、SQUIDを用いて詳細に解析した。また表面増強ラマン散乱活性について、同じAu組成のFePt@Auコアシェル型ナノ粒子と比較検討した。
本研究で新奇に合成したFePtAu磁性-プラズモン複合ナノ粒子は、優れた磁気特性とプラズモン散乱イメージング特性を併有するデュアル機能ナノ粒子であり、様々な生命科学分野における次世代プローブとして有望である。
UK Colloids 2014では、これら一連の結果を発表し関連分野の研究者らと討論した。
FePtAuナノ粒子において、なぜ原子レベルでFePt結晶格子内に分散しているはずのAu原子から、プラズモン散乱が検出されるのかということについて、金属ナノ粒子の局所表面プラズモン共鳴が専門の欧米の研究者らと深く議論することができ、今後の研究について非常に有意義な指針を得ることができた。
また、学会主催のディナーパーティーでは、イギリス、フランスを始め、世界各国の若手研究者らと交流を深めることができ、大変楽しく貴重な体験をさせていただいた。
この場をお借りして、渡航旅費を助成していただいた丸文財団に御礼申し上げます。