国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成26年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
稲葉 智宏
(大阪大学 大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻)
会議名
International Symposium on Compound Semiconductors 2014 (ISCS2014)
期日
2014年5月10日~15日
開催地
フランス、モンペリエ

1. 国際会議の概要

会場となったLE CORUMの外観

International Symposium on Compound Semiconductors (ISCS)は非常に権威のある化合物半導体の国際会議です。第41回目を迎えた本会議は26th International Conference on InP and Related Materials (IPRM 2014)と共催され、2014年5月11日から2014年5月15日の5日間、フランスのモンペリエで開催されました。化合物半導体に関する基礎物性から、デバイスまでを対象とした、4件のPlenary Talkと40件のInvited Talkと270件の投稿論文について発表が行われました。さらに今回は、近年注目を集めているシリコンフォトニクスに関するRump sessionも行われ、活発な議論が交わされました。参加者は大学や研究機関を中心として、アメリカ、フランス、ドイツ、中国、日本などの各国から集まりました。

2. 研究テーマと討論内容

講演の様子

“Enhancement of photoluminescence intensity in Eu,O-codoped GaN by microcavity”というタイトルで15分(質疑を含む)の口頭発表を行いました。窒化ガリウム(GaN)は窒化インジウムとの混晶を作製することで、理論上は紫外~赤外の発光波長域で発光可能です。しかし、緑色より長波長の場合、結晶成長が困難となり、発光効率が著しく低下します。そこで、私は希土類元素のユーロピウム(Eu)をGaNに添加したGaN:Euを活性層に用い赤色の発光を得る、という研究に取り組んでいます。これまでのGaN:Euの発光強度増大に関する取り組みは、第三元素を添加し希土類イオン発光中心を制御することでなされてきました。これは発光に関わる要素のうち電子の状態を制御する試みですが、今回は共振器と表面プラズモン共鳴により光子モードを変調することで、発光遷移確率を制御し、発光強度の増大を目指しました。その結果、発光強度は7.6倍増大し、その成果を発表してきました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

今回が初の国際会議への参加であったため、すべてのことが新鮮で、貴重な体験をすることができました。Welcome receptionやLunchは立食形式であったため、様々な参加者と交流を深める機会に恵まれ、現在の研究テーマの専門家に貴重な意見をいただくことができ、今後の研究の指針を考えるうえで非常に参考になりました。

盛り上がりを見せる会場の様子

また、参加前は英語でのコミュニケーションに対する不安がありましたが、苦戦しながらも海外の研究者に意見を求めていく中で、言語の壁は思っていたほど高くはないと感じ、自信をつけることができました。今後も積極的に国際交流を図り、自身の視野や考え方の幅を広めていきたいと思いました。

最後に、本国際会議に参加するに当たり、惜しみない支援をしていただいた一般財団法人丸文財団に心より感謝いたします。

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