会議場 Riverview Hotel
ナノオプティクスやナノフォトニクスの主要な領域として、アジア・パシフィック地域の研究者が会した近接場光学(Asia-Pacific Conference on Near-field Optics: APNFO2013)の国際会議が 2013年7月3日から6日までシンガポールにおいて開催された。APNFOは、1996年よりソウルで開催され、以降隔年の会議も本会で9回目となり、18年の歴史を持つ。本会議は、サブ波長光学や近接場光学顕微鏡、ナノイメージ、ナノフォトニクスやそれらを用いたデバイスを始め、プラズモニクスや局所場増強、メタマテリアルなどの応用に焦点を合わせた近接場光学領域において高度な専門を持つ科学的な学会である。
APNFO2013を開催するにあたり、総計92件の講演があり、(内訳70件の口頭発表と22件のポスター発表)、日本からの発表は26件であった。
発表風景
金属に光を入射すると、金属内の電子と光の表面を介した相互作用により、金属表面における光増強場を伴う表面プラズモン(以下、SP)が生じる。このようなSPは、主にナノサイズの金属微粒子や金属微細構造において顕著に現れ、金属の種類やサイズ、形状、周囲の屈折率に依存した共鳴波長を持つ。SP共鳴波長を外部変調により自由に可変できれば、光素子の更なる小型化と、より高機能な光情報処理デバイスへの発展が期待される。我々は、SP共鳴波長を電気信号で可変できるアクティブプラズモンフィルタ(以下、APF)を開発した。
本講演では、開発したAPFの電場分布特性について焦点をあてた『Electric Field Characteristics of Active Plasmon Filter』という講演タイトルで、口頭発表およびポスター発表の2件を報告した。
APNFO国際会議への参加は、2005年新潟(日本)、2007年黄山(中国)に続く、3回目となる。在学時に初めて参加した国際会議であり、初めて口頭発表を行った会議であることから、本会議への想い入れが強い。また、本会議は、これまでの学生主観ではなく、教員として新たな立場と視点で会議に臨みました。本会議に参加することで、近年のアジア・パシフィック地域におけるナノフォトニクスの動向を把握する有益な機会となりました。さらに、久しぶりに再会した海外の研究者らと交流を持ち、近況報告をすることもできました。
最後に、このような大変貴重な機会を提供していただきました一般財団法人丸文財団に心より感謝を申し上げると共に、貴財団の益々のご発展をお祈りし、本成果報告とさせていただく。