ポスター会場の様子
ISAMMAは、広く磁性材料に関する最新の研究成果について議論し、学術、技術の発展に貢献することを目的としており、同様の趣旨で独立に行われていた日本、台湾、韓国のthe ISPMM (International Symposium on Physics of Magnetic Materials) of Japan、ISAMT (International Symposium of Advanced Magnetic Technology) of Taiwan、及びSOMMA (International Symposium on Magnetic Materials and Application) of Koreaが融合し2007年より開催されている磁気材料科学と応用に関するアジア地域有数の国際研究集会である。今回の会議は3回目になり、台湾の台中市にあるWINDSOR HOTELで開催され、上記3カ国に加え、シンガポールや中国などアジア各国及びアメリカやドイツなど欧米からも多くの研究者が集結した。
発表の様子
本会議のMultifunctional Magnetic Materialsというセッションにおいて ”Magnetoelastically induced magnetic transition in epitaxial Ga-doped FeRh/BaTiO3(001)” というタイトルでポスター発表を行った。
近年、強磁性体/強誘電体ヘテロ構造等のマルチフェロイック材料を利用し、強誘電体の電荷や格子歪を制御することで、磁場を用いることなく強磁性体の磁気特性を制御する研究が精力的に行われている。本研究は、FeRh合金が有する特異な磁気特性である反強磁性-強磁性転移に着目し、FeRh/強誘電体ヘテロ構造における歪誘起磁気転移を実証した研究成果について報告した。
具体的には、典型的な強誘電体であるBaTiO3上にエピタキシャル成長したFeRh薄膜において、BaTiO3の構造相転移に伴う界面歪の変化を中心に討論し、BaTiO3が斜方晶から菱面体晶に相転移する際の界面歪を利用することで、FeRhの磁気状態を強磁性状態から反強磁性状態に制御することに成功した結果について発表することができた。
大きな会議では複数のセッションが並行して行われるが、本会議は磁性や磁性材料に特化した会議であり、セッションが多数の会議室に分散せず口頭発表2会場及びポスター会場に集約されていた。そのため普段は参加していない分野のセッションにも参加することができ、研究の知見を広げる絶好の機会となった。また、会議に参加していた同年代の学生と研究や将来の夢などについて話すことができ、大変刺激を受けたと同時に、円滑なコミュニケーションをする上で言語の不十分さを改めて感じ、更なる努力が必要であると考えさせられた。
間を利用し台中市内の繁華街を散策した。家電、化粧品、食品などいたるところで日本製品を見かけ、また書店では日本語の参考書が非常に充実しており、日本と台湾の結び付きの深さを改めて感じることができた。
最後に、本会議の参加の機会をいただいた一般財団法人丸文財団に心より感謝申し上げます。