ISNAは芳香族化合物に関する国際学会であり、1970年に第一回に台北にて開催された。ISNA-15はそれ以来の台北での開催となった。全世界より1,000人を超える参加者・スタッフが参画する大規模な国際学会である。ホストである台湾を除けば、地理的に近接した、また芳香族化合物に関する研究が盛んな我が国からの参加者が半数程度を占めていたように見受けられた。次回は2015年にスペイン・マドリードで開催される。
学会会場
(Howard Civil Service International House)
口頭発表会場
口頭発表の申し込みを行ったが、今回は口頭発表会場が1箇所しかなく、枠がplenary lecture, invited lectureでほとんど埋められていたため、「New aspects in BODIPYs and Pechmann dyes」の題目にてポスター形式での発表となった。ペックマン色素については新規異性体の発見と有機エレクトロニクスへの展開が評価を集め、質問が集中した。一方で合成法の改善など、有益なディスカッションを行うことができた。BODIPYに関してはエレクトロニクスのみならず、生体プローブ色素としての利用も盛んに研究されており、蛍光波長・発光量子収率に関する質問が相次いだ。
ポスター発表の様子
ポスター発表を行う学生
同行した学生とともに
上記の通り、ポスター発表におけるディスカッションは今後の研究を進める上でも非常に有意義なものとなった。教育と海外経験の目的で、指導している学生2名も同行・ポスター発表させた。懇親会では台湾伝統・新興のパフォーマンスの上演とともに台湾伝統料理が供され、心と舌の涵養となった。他の研究者の講演に関して、Holmes教授 (オーストラリア)の有機エレクトロニクスに関するNozoe Prize受賞講演、瀧宮教授(理研)の有機トランジスタに関する講演、辻准教授(東大)による有機太陽電池、が特に印象深く感じた。総括すると非常に有意義な学会参加となった。最後に本国際学会への参加旅費を助成いただいた、一般財団法人 丸文財団に感謝の意を表し、結びに代える。
懇親会における演奏
懇親会における演舞