国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成25年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
齊藤 元貴
(北海道大学 大学院工学研究院 附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センター)
会議名
3rd Nano Today Conference
期日
2013年12月8日~11日
開催地
Matrix, Biopolis, Singapore

1. 国際会議の概要

3rd Nano Today Conferenceは、ナノサイエンスとナノテクノロジーに関する国際会議であり、化学、物理、材料、生物、情報、環境といったあらゆる分野の研究者が一堂に会するように企画され、ナノ構造材料とデバイスの最新の研究発表が行なわれた。本会議では特に生物分野の発表が多く、全体では400名超の研究者が参加した。前回の会議と異なり、シングルセッション形式を採用しており、28件の招待講演、17件の口頭発表、220件のポスター発表が行なわれた。主催者側の発表によると、45カ国から546件の講演申込があった。講演発表は、午前と午後に割り当てられ、昼休みにあたる12時から14時までがポスター発表の時間に割り当てられた。このため、ポスター発表は非常に活発に行なわれた。

学会会場付近

会場の様子

2. 研究テーマと討論内容

ポスター発表前

私は、「Synthesis of tin and tin oxide nanoparticles by solution plasma」というタイトルで、ポスター発表を行なった。ナノ粒子は比表面積が大きく、量子サイズ効果による特異な性質の発現が期待されるため、触媒や導電性ペースト材、電極材料などへの利用が有望視されている。そのナノ粒子を製造する方法として近年、液相中で生成させるプラズマの利用が、装置の単純化、排気系の不要化、高速生成といった点で優れるため、盛んに研究されている。スズおよび酸化スズのナノ粒子はリチウムイオン電池の負極材料として有望であり、本研究では液中プラズマによるスズおよび酸化スズナノ粒子の制御形成とその電池特性について発表した。実験では、種々の界面活性剤が生成物に与える影響を調査した。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

ポスター発表前

私は、2日目にポスター発表を行なった。研究は液相中で生成させるプラズマに関するものであるが、この方法は近年開発されたものであり、また国際会議はプラズマ物理学に特化したものではないため、発表の半分をプラズマの生成メカニズムや装置の構成に割いた。このため、幅広い分野の研究者と有益な議論することができた。また一方で、液中プラズマの専門家の方々からも質問やコメントを受けることができ、同じ研究分野におけるネットワークを構築することができた点は、大きな成果であった。

また、自身の発表だけではなく、他のポスター発表、および講演などで、研究をさらに進展させるための有益な知見を数多く得ることができた。特に、電池材料の研究で世界的に著名なYi Cui氏の招待講演は私にとって興味深いものであった。

最後に今回の有意義な海外渡航に助成いただいた一般財団法人丸文財団に深くお礼申し上げます。

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