European Congress on Catalysis (Europacat) は2年に1度ヨーロッパで開催される国際学会であり、ヨーロッパだけでなく日本、中国、アメリカ、メキシコなどの世界各地から参加者が集まる学会である。第11回目となる今回の学会は、フランス、リヨンにて9月1日~6日にわたって開催された。エネルギー・環境問題の点から近年注目を集めている「化学エネルギー変換と貯蔵に関する触媒技術」や「CO2変換に関する触媒技術」など多岐にわたる9つのトピックスに分かれ、依頼講演6件、基調講演12件を含む313件の口頭発表と1,091件のポスター発表が行われた。この学会には、最新の触媒調製法、測定法、熱力学的な予測などに関する専門家が集まっており、幅広く触媒に関する意見を聴いたり、議論したりすることが可能であることから、様々な知識が結びつき、新しいアイデアが生まれ易い会議となっている。
次回は2015年9月頃にロシアのカザンで行われる予定である。
近年、光エネルギーを利用し、有害有機物の分解や水素エネルギーを生成することが可能な光触媒に大きな注目が集まっている。しかしながら、まだまだ十分な活性が得られておらず、光触媒の実用化にはさらなる高活性化が求められている。
今回のポスター発表は“Synthesis of Cubic-, Spherical-, and Flake-shaped SrTiO3 and Their Morphology-Dependent Photocatalytic Activity”という題目で行った。本研究では、光触媒活性向上に向け形態・露出結晶面に着目した。そして、ポスター発表では新しく開発したチタン酸ストロンチウムナノ粒子の形態制御法や形態・結晶露出面の違いが光触媒活性に与える影響に関する発表を行った。
2時間のポスター発表における参加者との討論では立方体状や薄片状に形態制御された粒子の調製法や形態制御機構に関するものが多く出た。
また、活性評価法として電気化学的手法を用いた方法に関する簡単なアドバイスをいただくこともできた。
本会議では触媒に関する多岐にわたる分野を学ぶことができた。特に、これまであまり触れてこなかったゼオライト触媒に関するものや電気化学に関するものは非常に興味深く、分析法などをこれからの自分の研究にも活かせると感じた。口頭発表ではアニメーションを用いて分かり易く説明する方も多く、英語が聞き取れない部分もスムーズに理解することができ、今後の自分の発表スタイルにも取り入れたいと感じた。
光触媒に関しては、自分のテーマである水素エネルギー生成の他に、二酸化炭素の還元に関する講演も多く行われており、今後は無機半導体微粒子のみを用いるのではなく有機物や錯体による表面修飾技術が重要になってくるように感じた。
日本人が少ない国際会議ということもあり英語で会話する場面が非常に多く、英語でのコミュニケーション能力も少し向上したように感じた。英語を母国語としない方がつまりながらも英語で積極的に話しかける姿勢をみて、自分もまずは言葉を発することが重要であることを学ぶことができた。
また、リヨンの街並みは非常にきれいでホテルから学会会場に向かう途中の道も楽しむことができた。