国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成25年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
石津 光太郎
(東京大学 情報理工学系研究科 知能機械情報専攻)
会議名
The 17th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems (Transducers 2013)
期日
2013年6月16日~20日
開催地
Barcelona, Spain

1. 国際会議の概要

会場の前で

The 17th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems (Transducers 2013)は、マイクロナノ加工を用いたセンサやアクチュエータ全般について幅広く取り扱った国際会議である。本会議はアジア、北米、ヨーロッパと場所を移して2年に1度の頻度で開催され、世界各地よりMEMSに携わる研究者が集まる。今回はスペインのバルセロナで6月16日から20日の5日間にかけて行われ、35の国や地域から1,000人を超える参加者が集まった。会議では1,554件の事前応募のから選考された707件の研究発表が行われ、その構成は4件の基調講演、28件の招待講演、236件のオーラルセッション、439件のポスターセッションであった。

2. 研究テーマと討論内容

口頭発表会場の様子

発表の様子

“CARBON DIOXIDE GAS SENSOR WITH IONIC GEL”というタイトルにて“Gas Sensors”のセッション中に口頭発表を行った。

ゲル化したイオン性液体をCO2ガス検知する電解質として用いることにより、小型かつ低消費電力駆動するCO2ガスセンサとして応用できることを提案した。イオン性液体をポリマーに溶かすことでゲル化し、ゲルを白金電極上に形成することでガスセンサを構成した。ガス吸収によるセンサのインピーダンス値の変化を計測することでガス濃度を測定した。吸収されたCO2ガスは電極界面まで拡散する。センサに一定電圧を印可すると、CO2ガス濃度に応じて電極界面上でCO2の還元反応による電荷移動量が変化するため、センサのインピーダンス値が変化する。イオン性液体は反応の触媒として働いている。

発表後に受けた質問および返答は以下の通りであった。

『湿度の影響はあるのか』
⇒ 今回用いたイオン性液体は、親水性であり湿度による影響は大きい。
『電極上で起こっている反応はどんなものか』
⇒ CO2の還元反応と水の酸化反応の酸化還元反応が起きていると思われる。
『イオン性体分子の構造に変化はないのか』
⇒ イオン性液体は触媒として機能しており、また印可電圧もイオン性液体の電位窓内に収まっているのでイオン性液体の分子構造に変化は起きないはずである。

発表には100人を超える人が発表を聞きに来ていただき、大変有意義な経験ができた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

ゲル化したイオン性液体を用いたガスセンサについての口頭発表を行い、ガスセンサに興味がある方、イオン性液体に興味がある方などと意見交換をすることができた。また、同分野の研究者との意見交換や他の研究者の知識や発想に触れることで、研究に対する新しい視点や考え方を得ることができた。国際学会への参加は今回2度目で、前回より英語でのコミュニケーションも円滑に行え、大変貴重な経験となった。

最後に、今回の会議への参加にあたり、多大なる支援をいただきました貴財団に心より感謝申し上げます。

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