ペンシルヴァニア州立大学の入り口
The 66th ICAT/JTTAS Joint International Smart Actuators Symposium はアクチュエータとセンサの国際シンポジウムであり、世界各国の最先端研究の発表と意見交換の場として、毎年アメリカペンシルヴァニア州立大学で開催される。
私は、日本古来の伝統文化であり芸術である折紙を数学的に解釈し、折り畳みの原理を基に工学設計へと応用する独創的な研究を行っている。平坦に折り畳まれた構造物を立体構造へと展開するにはアクチュエータが必要であり、また平坦から立体へと形状が大きく変化するので、折り畳み構造物そのものをアクチュエータとして利用することも考えられる。このように、折り畳み構造とアクチュエータ技術は非常に関係が深い。今回の講演では、構造設計者の立場からアクチュエータ研究者に向けて、“Origami Theory for Actuators/Sensors: Conformal Transformation and Deployable Structures”という題目で招待講演を行った。筒形状や膜形状の様々な折り畳み模型を持参し、それらを出席者に実際に触ってもらいながら、折り畳み構造を設計するための手法(等角写像法)、折り畳みデザインのもつ幾何学的な変位増幅メカニズム、その産業応用例などを紹介した。研究者の創造力を刺激し今後の研究活動に役立てられるよう、できるだけ多くの模型に触れてもらうことを念頭においた。
学会会場の様子
20件を超える最先端アクチュエータに関する研究が発表された中で、私の折り畳み構造に関する講演は趣向が異なりスパイスになったと出席者に大変好評であった。シンポジウム後の出席者アンケートで「最もおもしろかった講演」に選ばれたと主催者からご連絡をいただいたことは非常に光栄である。私の今後の大きな課題は折り畳み構造をどのように産業応用するかであり、アクチュエータ研究者の意見を聴き彼らの研究動向を知る機会を得たことは非常に有意義であった。
最後になりましたが、今回の国際会議参加に対して多大なるご支援を賜りました一般財団法人丸文財団に心より御礼申し上げます。