国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和7年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
近藤 吉史
(大阪大学 産業科学研究所)
会議名
環太平洋国際化学会議 2025
The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies 2025 (Pacifichem 2025)
期日
2025年12月15日~20日
開催地
ハワイ・ホノルル(アメリカ)

1. 国際会議の概要

The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (Pacifichem)は、5年ごとに日本化学会やアメリカが各界を含む環太平洋7か国の化学会が主催して開催されている化学分野で世界最大級の国際学会である。今回のPacifichem 2025はアメリカ合衆国ハワイ州ホノルルで2025年12月15日~20日の6日間開催され、14,000人以上の研究者や学生が参加した。口頭発表はハワイコンベンションセンターを始めとする4会場で開催された。図1に申請者が発表したセッションS20のセッション会場の写真を示す。また、ポスター発表はハワイコンベンションセンターにある図2の非常に大きな会場で4日間行われた。本学会は、分析化学、生物科学、医療・生命科学・化学工学、計算科学、無機化学、有機化学、高分子化学、材料科学、物理化学、化学教育など化学およびその関連分野を網羅する多くのシンポジウムで構成されていた。研究発表な高い専門性~分野横断的研究まで幅広く発表されており、学会期間中の口頭発表やポスター発表を通して、研究者間での活発な議論が行われた。


図1 セッション会場の様子

図2 ポスター会場の様子

2. 研究テーマと討論内容

12月17日の午前9:30~9:50(現地時間)にSession S20-Advanced Functional Materials for Clean Energy Solutionsで「Effect of hydrophobization in Zr-MOFs for photosynthesis of hydrogen peroxide」というタイトルで口頭発表を行った(図3)。


図3 発表の様子

過酸化水素(H2O2)は低環境負荷な酸化剤や殺菌剤として広く利用されており、年々需要が増加している。光触媒を用いることで、地球に豊富に存在する酸素と水から光エネルギーを用いてH2O2を製造することができる。しかしながら、酸素の水への溶解度の低さによる触媒表面への酸素の拡散阻害や、光触媒上でのH2O2の分解といった課題を抱えており、依然としてH2O2生成量は低い水準に留まっている。申請者らは、疎水性MOF光触媒を開発し、本触媒は既報のMOF光触媒の中で非常に優れたH2O2生成特性を示すことを見出した。MOFに長さの異なるフルオロカルボン酸を修飾することで、触媒の疎水性を制御した。合成した光触媒を用いて、可視光照射下での酸素と水からのH2O2生成反応を行った。疎水化することによって、H2O2生成量が大きく増加し、特に適度な疎水性を付与した試料で、H2O2生成量が最大7.1倍向上した。この疎水化による活性向上は、①水中での酸素との親和性が向上したことによる酸素還元反応の促進、②疎水性の向上による生成した H2O2の分解抑制、③水の酸化反応でH2O2が生成する二電子酸化反応の選択性向上の3つの効果に起因することを明らかにした。

発表を終えると、複数の聴講者から発表に関する質問を受けた。質問内容は、光触媒の安定性や過度な疎水化で活性が低下する理由などについてであった。以上の内容について、具体的な実験データを示しながら、質問者に対して説明した。また、発表後に意見交換を行い、今後の研究に繋がる重要な知見を得ることができた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)


図4 会場の様子

学会期間中のホノルルは、雨が多かったものの、温暖で過ごしやすい気候であった。12月下旬であったこともあり、ワイキキ周辺ではクリスマスムードであり、学会会場もクリスマスの装飾が飾られていた(図4)。

ウェルカムレセプションでは、葉でできた髪飾りや貝殻でできた腕輪など工芸を体験できるブースやイベントがあり、ハワイの伝統工芸を感じることができた。Pacifichem 2025は、これまで参加した学会の中で最も大規模な学会であり、自身の専門分野に近い内容から日常では触れる機会のない研究分野の興味深い発表を同じ会場で簡単に聞くことができ、自身の研究の幅を広げることができる貴重な機会であった。口頭・ポスター発表時など学会期間中に、海外や日本の研究者と交流し、研究に関する新たな知見を得るだけでなく、共同研究の種となるディスカッションを行うことができた。また、英語での口頭発表や交流を通して、明瞭な表現で伝えることの重要性を身にしみて感じた。

この度の国際学会の参加に関して助成していただいた丸文財団のご関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

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