学会会場ロビーにて
225th ECS Meetingは、アメリカの電気化学会であるElectrochemical Societyによって開かれる世界で最も大きな国際会議の一つである。Electrochemical Societyは毎年、春と秋に国際会議をアメリカやカナダ、メキシコ等で主催しており、今回参加した225th Meetingはアメリカ合衆国のフロリダ州オーランドで行われた。今回の会議では、電気化学を中心に結晶成長や磁気特性など幅ひろい分野にわたりおおよそ60のセッションに分かれ、多くの参加者で賑わった。
ポスター会場の様子
ULSIのさらなる発展のため、発表者は以前より、現在のSiより良好な電気的特性を示す新材料であるGeの結晶化に関する研究を行ってきた。
今回は、Geの薄膜トランジスタ(TFT)への応用が可能になる結晶成長技術を開発したので、本会議へと報告した。
本会議では”Formation of Large Grain Ge on Insulator by Liquid-Solid Coexisting Annealing of a-GeSn”という題目でポスター発表を行った。
発表では、Ge中にSnを添加することで種付け横方向液相エピタキシャル法を非晶質ガラス基板上で行うための自己組織的種付け技術の開発に成功したこと、また、成長中の偏析現象を制御することで、添加したSnを成長後に成長層中から除去する技術を開発したことを発表した。
質疑も活発に行われ、成長後のGe層の結晶性や電気特性に関する質問を受けた。
本会議では、半導体研究の分野だけでなく、幅広い分野から著名な研究者が多数参加しており、多くの興味深い講演を拝聴することができた。自身の研究と密接に関わる最先端の情報はもちろん、他分野の最先端の研究を知ることで、自身の研究の幅を大きく広げることができた。国内外の研究者と活発な議論を行うことで、自身のコミュニケーション能力を飛躍的に向上させることができ、非常に有意義な会議となった。
また、世界中の同世代の発表者も多数発表しており、大変大きな刺激をうけることができた。
末筆ながら、今回の国際会議参加にあたり、貴財団から多大な支援を頂きましたこと心より感謝いたします。