国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成25年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
Nguyen Thanh Mai
(北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科)
会議名
European Materials Research Society 2013 Spring Meeting (E-MRS 2013 SPRING MEETING)
期日
2013年5月28日~30日
開催地
フランス・ストラスブール

1. 国際会議の概要

E-MRS 2013 Spring Meetingは、材料科学分野における世界最大の国際学術研究集会の一つであり、毎年春と秋の2回欧州で開催されている。2013年度は、春(Spring Meeting)はフランスのストラスブール、秋(Fall Meeting)はポーランドのワルシャワで行われる。会議の目的は、材料科学分野での最先端の研究成果に関する情報交換であり、参加者は2,500人を越える。E-MRS 2013 Spring Meetingでは、次の4分野に焦点を絞っている。(1)エネルギー材料、(2)エレクトロニクス/フォトニクス材料、(3)先端材料・ナノ材料、(4)加工・分析法

Website: http://www.emrs-strasbourg.com/index.php

2. 研究テーマと討論内容

【研究テーマ】
熱電ナノ粒子の化学合成とナノ構造熱電材料の創製に関する研究

【討論内容】

講演題目
ZnSb Nanoparticles and Nanostructured Materials: Chemical Synthesis, Characterization and Thermoelectric Properties

講演内容
近年、熱電変換素子を用いた環境発電の実現を目指し、熱電材料の熱電変換効率を改善するための研究が活発化してきている。最も有望な手段の一つとして、熱電材料の結晶構造やナノ構造を制御して、キャリアの散乱をできるだけ抑制しながら、フォノンを効率的に散乱することで熱伝導率を低下させ、熱電変換効率を向上させようというアプローチがある。熱電変換素子の性能はZT=S2σT/κ (S: ゼーベック係数, σ: 電気伝導率, κ: 熱伝導率, T: 温度)で表され、熱電発電のためにはZT>2が必要とされる。熱電材料の一つであるZn-Sb系化合物は、他の熱電材料に比べて著しく低いκを有し、150-400℃の低温領域で高いZT値を示す特筆すべき材料である。Zn-Sbのκが低い理由は、複雑なdisorder結晶構造にあるが、しかし、それでも熱電発電に要求されるZT>2を満たしていない。本研究では、組成や形状が均一なZn-Sbナノ粒子をビルディングブロックとして組成やグレインサイズが微視的に均一なZn-Sbナノ構造熱電材料を創製することで、更なるκの低下を狙って、Zn-Sbナノ粒子の化学合成を行い、その構造や物性について詳細な検討を行った。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

E-MRS 2013 Spring Meetingでは、多様で興味深い最先端の研究発表を多く聴講することができ、また発表の合間に人的交流がスムースに行なわれるような配慮が随所になされていたため、各国の様々な分野の研究者と交流を深めることができた。特に、私の研究テーマに深く関連した熱電材料関係の講演では、いくつかの新しいアイデアに繋がるような内容の発表があり、今後研究を進めていく上で大変有意義であった。同様に、私自身の講演(口頭およびポスター)についても、多くの研究者とディスカッションすることができ、有益なコメントや情報を得ることができた。

このような国際会議に参加する機会を与えていただきました丸文財団に心より感謝いたします。

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