科学技術分野でブレークスルーとなる成果をあげ、丸文学術賞/丸文研究奨励賞を受賞された6人の先生方が、秘話や裏話などを交えながら体験を語り、これからブレークスルーに挑戦しようという学生や企業の若手研究者の方の熱い視線を集めました。
多くの方々にご参加いただき、盛況のうちに終了しました。
『細胞膜のテラヘルツ帯共鳴振動仮説を追いかけて』
―ノーベル賞か、イグノーベル賞か?!―
川瀬 晃道 名古屋大学エコトピア科学研究所
「気功師である父親の影響でテラヘルツの研究を行った。人間の細胞はサブミリ波を発生している?」
『光から物質へ、物質から光へ:光科学と量子物性物理学の波に揺られ』
小川 哲生 大阪大学大学院理学研究科
「理学は理論と実験の分業。理論はテーマ(何を調べるか)が決まったら8割が解決する。」
『光を自由自在に制御する:フォトニック結晶』
野田 進 京都大学大学院工学研究科
「フォトニック結晶 Q値を上げる。計算より予測する。絶対あきらめない。」
『有機トランジスタの魅力とベル研究所の留学体験』
染谷 隆夫 東京大学大学院工学研究科
「現在の半導体技術は、演算速度を速く、サイズは小さくする傾向であるが、有機半導体では 『大きいことはよいことだ』 ということで研究を進めている。」
『誤解と非常識が生んだプロセッサアーキテクチャ』
―カリフォルニアの青い空と超常識な世界に憧れて―
石原 亨 九州大学システムLSI研究センター
「VLSIをソフトウェアから研究。
何かわからないことにぶつかった時は、困難な道を選べば達成感も大きい。これが新しい技術を生み出す。」
『瓢箪から駒の電子材料研究』
―あたらしい物質系の研究にはあたらしい研究手法を―
川崎 雅司 東北大学原子分子材料高等研究機構
「自分を信じて突き進むと周りもついて来る。」
司会:森 勇介
(大阪大学大学院工学研究科)
パネリスト:
川瀬 晃道、小川 哲生、野田 進、
染谷 隆夫、石原 亨、川崎 雅司
参加者からの質問に、パネリストの6人の先生方が、自身の体験や指導者としての立場から回答しました。
ユーモアを交えた話に会場からは笑いが絶えず、大変な盛り上がりでした。
質問と回答の一部をご紹介します。
■ 研究テーマはどのようにして決めましたか?
「自分が好奇心を持ったテーマであれば熱中して研究できる。」(小川)
「深刻に考えずに、おもしろそうだと思った研究室があれば、まず飛び込んでみる。」(川崎)
■ ブレークスルーは予測したとおりですか?
「感動があるかが大事。そういった小さいブレークスルーの積み重なりが、大きなブレークスルーにつながる。」(野田)
「予想どおりの結果より、失敗や問題点を解決することこそがブレークスルー。」(染谷)
「研究段階では本当のブレークスルーかはわからない。自分が楽しいと思うことを信じる。」(川崎)
■ 詳細な研究計画を立てますか?
「行き当たりばったり。いろいろな手法を試すことも必要。」(川瀬)
「計画の立てようがないテーマもある。先が見えない中で、モチベーションを上げることが大事。」(染谷)
「綿密に計画を立てていても、思うようにいかないのが研究。」(石原)