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国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・
参加者名
李 垂範
(京都大学 大学院工学研究科 電子工学専攻)
会議名 10th International School and Conference on Physics and Applications of Spin Phenomena in Solids (PASPS10)
期日 2018年8月5日〜9日
開催地 Linz, Austria
1.国際会議の概要

Physics and Applications of Spin Phenomena in Solids学会は半導体・金属・絶縁体・有機物質など個体中で電子のスピンに関する現象と物理を理解し、将来スピントロニクス技術へ応用するため議論する場である。2年毎開催される本学会は約200件の発表で構成されており、その中で招待講演は30件程度ある。最新の研究成果を報告するだけではなく、若手育成に向けた著名な研究者による講義が予定されている。申請者の研究成果を世界中の専門家達と議論することでスピントロニクスの多様な目線からこの研究を評価し、より深い理解ができると期待できる。また最新の研究報告や様々な分野の講義を受けることは今後の研究方針の決定に役に立つと考えられる。

2.研究テーマと討論内容

シリコン(Si)は良いスピンコヒーレンスを持ち、スピンMOSFET (Metal -Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor) の有望な材料として期待されている。スピンMOSFETの実現に向けてスピン信号のバイアス依存性に関する研究が必要である。一方、先行研究では既にSiスピンMOSFETの室温動作が報告されたが、スピンによる信号が注入電流と共に飽和する現象が見られた。本研究ではSi中でのスピン信号のバイアス依存性を調べた。本実験より強磁性体電極からSiチャネルへ注入されるスピンの偏極率がバイアス電圧に強く依存することが分かった。これらのスピン輸送特性のバイアス依存性を補正したスピンドリフト拡散方程式と1次元モデルを用いて、実験結果が良く説明できることが分かった。

今回のPASPS10の発表で世界の著名な専門家達と本研究の内容を議論し、この研究の強みと弱みを再度確かめた。この研究で解析のために建てたモデルは単純化した1次元モデルで、現実は3次元的構造を持っているため実験結果を100%正確に説明できないというところを指摘してもらった。また今回の議論内容を含めて論文を執筆中である。

3. 国際会議に出席した成果(コミュニケーション・国際交流・感想)

上記で述べたように今回の学会で自分の研究の内容の強みと弱みを確認することができ、これからの論文執筆に大変役に立った。また日常会話から国際会議での討論に至って英語を使うことで英会話能力が成長した。しかし、今回のオーストリア渡航で分かったことはヨーロッパでは英語が割と通じないということだった。首都のウィーンでは英語ができれば生活に問題はなかったのが、国際会議の開催地であるリンツの食堂では英語が全く通じなかった。結局ドイツ語翻訳機の力を借りて問題を解決したが、次回ヨーロッパに来るときは現地の言語を少し学ぶ必要があると感じた。フランス、ノルウェー、オーストリアなど世界中の友達が増えたことは今回の会議参加で得た最大の収穫だと思う。

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