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国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・
参加者名
林 宏樹
(早稲田大学 先進理工学研究科 ナノ理工学専攻)
会議名 28th Anniversary World Congress on Biosensors (Biosensors 2018)
期日 2018年6月12日〜15日
開催地 Miami, Florida, USA
1.国際会議の概要
≪学会会場周辺の景色≫

World Congress on Biosensors (Biosensors 2018)は、ElsevierのBiosensors & Bioelectronicsが2年ごとに開催するバイオセンシング分野のみに焦点を当てた数少ない国際会議です。15回目を迎えた今大会は、6月12日〜6月15日の4日間、アメリカ合衆国のフロリダ州マイアミにあるHyatt Regency Miamiにおいて開催され、世界48ヶ国から915人の研究者・技術者が参加しました。講演内容は、イムノクロマトグラフィーやLab-on-a-chipをはじめとするセンシング原理やフレキシブルバイオセンサなどの開発、ウェアラブルセンサを用いたシステムなどから幅広く構成されました。口頭発表が約200件、ポスターが600件を越え、近年注目が集まるウェアラブルセンサの開発に向けた研究を中心に活発な議論が行われました。また、バイオセンサに関連する企業の展示ブースも設けられ、産学両面における最先端の研究に触れることができました。次回の30th Anniversary World Congress on Biosensors (Biosensors 2020)は、韓国の釜山にて2020年5月26日〜29日開催される予定です。

2.研究テーマと討論内容
≪ポスター発表の様子≫

パンデミックによる甚大な被害を引き起こす新型インフルエンザウイルスは、高病原性鳥インフルエンザウイルスが突然変異によりヒトが有する糖鎖に対する結合性を獲得したウイルス株です。パンデミックによる被害の抑制に向け、新型インフルエンザウイルスの検出デバイスとしてラベルフリー検出が可能である電界効果トランジスタ(FET)バイオセンサが期待されます。私たちは、インフルエンザウイルスの膜タンパク質であるヘマグルチニンが細胞表面に存在する糖鎖受容体に結合することで感染を開始することに着目し、その機構を利用したセンサを開発してきました。

本会議では、糖鎖固定化FETバイオセンサの養鶏場等での家禽類に対する使用を想定し、鼻粘液中のインフルエンザウイルスを検出に向けたL-cysteine ethyl ester (LCEE)による粘度低下の処理法に関してポスター発表を行いました。鼻粘液は糖タンパク質であるムチンにより高い粘度を有します。そのため、対象分子の拡散の阻害や分子認識場への残存により測定への影響により、未処理の場合はセンサ応答の取得が困難でした。一方、LCEE処理により鼻粘液の粘度を低下させたところ鼻粘液中におけるインフルエンザウイルスの特異的な検出を可能にしました。従って、粘度低下を目的としたLCEE処理法は、FETバイオセンサによるインフルエンザウイルス検出法の実用に向け、有効な手段であることが示唆されました。発表の際には、本バイオセンサの原理や鼻粘液からウイルスを検出する意義などを中心に議論をし、今後の検討に向けた意見を得ることができました。

3. 国際会議に出席した成果(コミュニケーション・国際交流・感想)

今回の発表は、自身にとって初めての海外で開催される国際会議であったため、これまで行ってきた研究に関して国際的な場において発表することができたことは、大変貴重な経験でした。しかし、英語による議論において説明の難しさを痛感し、英語力の向上が必須であることを感じました。また、世界的に著名な研究者の基調講演をはじめとする様々な研究発表からは、現在の注目される研究内容や今後のバイオセンシング分野のロードマップ等などの知見を得ることができました。このように本会議に参加できたことで大きな収穫を得られ、今後の研究活動の糧になったと思います。

最後に、本会議への参加に対してご援助をいただいた貴財団に心より感謝し、御礼を申し上げます。

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