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国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・
参加者名
長谷川 瞬
(北海道大学 大学院工学研究院付属 エネルギー・マテリアル融合領域研究センター)
会議名 34th European Conference on Surface Science (ECOSS-34)
期日 2018年8月26日〜31日
開催地 Scandinavian Congress Centre, Aarhus, Denmark
1.国際会議の概要

European Conference on Surface Scienceは毎年1回、Surface Science Division of the International Union for Vacuum Science, Technique and Applications (IUVSTA) and および the Surface Interface Section of the European Physical Society (EPS)によって開催される合同会議で、主に真空・表面に関する発表が行われる。今年度の会議では会議名が示すように表面物性・化学に関する研究と、不均一系触媒、有機分子のナノ構造、グラフェン等の2次元物質、ナノエレクトロニクス、バイオナノサイエンス、機能/エネルギー材料といった様々な分野における研究が発表された。今年度の参加者は500人を超え、300以上の口頭発表と100以上のポスター発表が行われた。

≪会場付近の街並み≫ ≪会場の様子≫
2.研究テーマと討論内容

私は、「Surrounding gas effect on diffusion and adsorption of a single metal atom on heteroatom-doped graphene」というタイトルで口頭発表を行った。粒子径が1nmを下回る金属粒子は金属サブナノクラスタと呼ばれ、非常に大きな比表面積と量子サイズ効果から優れた触媒活性を示す。そのため、燃焼電池電極触媒等への応用が期待されている。また、グラフェンは機械的・化学的耐久性が高く金属サブナノクラスタの担体として、有望視されている。一方、グラフェン表面は化学的に不活性なため、グラフェン上の金属サブナノクラスタは凝集粗大化してしまい、優れた触媒活性が失われてしまう。先行研究による理論計算により、グラフェン中に窒素やホウ素などをドープすることで、金属原子と強く相互作用するサイトが形成され金属サブナノクラスタの凝集粗大化が抑制されることが報告されている。しかし、多く研究では窒素ドープに着目しており、その他の元素ドープを比較・検討した報告は少ない。また、使用環境中の雰囲気ガス(燃料電池であれば水素や酸素原子)が金属サブナノクラスタの拡散挙動に与える影響も未解明である。そこで本研究では、グラフェン中に置換導入された様々な元素(B, N, O, Si, P, S)と、燃料電池中の雰囲気ガス(H, H2, OH)が金属原子の吸着・拡散挙動に与える影響を密度汎関数法に基づく第一原理計算を用いて調査した。金属原子としては貴金属としてPtを、卑金属としてFeを取り扱った。計算結果より雰囲気ガスは金属サブナノクラスタの凝集を促進するが、雰囲気ガス存在下においても、PtサブナノクラスタではO, P, Si置換グラフェン、FeサブナノクラスタではB, O, Si, P置換グラフェンが凝集を抑制する優れた担体であることを明らかにした。

3. 国際会議に出席した成果(コミュニケーション・国際交流・感想)

私は初日に口頭発表を行った。初めての大規模な国際学会であったため、非常に緊張したが、自分の主張したいことは伝えることができたと思う。ただ質疑応答の時間が短く、他の研究者の方とディスカッションがあまりできなかったことは心残りである。発表終了後には1人の研究者の方から名刺を頂き、人脈を形成できたことが嬉しかった。また、他のグループの発表を聴講することで、自身の知見を広げることができた。特にJens K. Norskov氏の講演は、私にとって非常に興味深いものだった。得られた知見を基に今後の研究を発展させていきたい。

最後に、本国際会議への参加にあたり多大なるご援助を賜りました丸文財団に心より感謝申し上げます。

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